米国時間11月17日に開催された「COMDEX Fall 2002」の基調講演で,米MicrosoftのBill Gates会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトが,Microsoft Office製品の新しいアプリケーション「Microsoft OneNote」を披露した。OneNoteはパソコン上でノートを取ることに特化したアプリケーションで,2003年中頃に出荷する。価格は未定だが,12月に発表する予定。

 OneNoteについて「Authoring Services for Microsoft Office」部門のChris Pratleyグループ・プログラム・マネージャは,「ノートを取り,記録し,整理し,検索し,再利用するという一連の作業を1つのノートで可能にするアプリケーション」と説明している。

 われわれが会議などで記録をとる場合,紙とペンを使って字を書いたり,ノートPCとテキスト・エディタを使って文章をタイプしたり,録音機を使ったりして記録している。それを他人に電子メールで送ったり,再利用するには,後日それを改めて整理する必要がある。それに対してOneNoteでは,タイプ入力したテキスト・データや紙のノートのキャプチャ・データのほか,「タブレットPC」を利用する場合は手書きで入力した文字などを容易に整理し,再利用できるようにするという。

 OneNoteは,紙のノートを模したユーザー・インターフェースとなっており,ユーザーは会議中などに画面の好きな位置に,タイプしたり手で書いたりしたメモを記録しておける。ただしこれら情報は,電子データとして記録されているため検索が可能である。さらに各データにはその情報の属性などを記録した「タブ」が付つく。

 例えば,研究プロジェクトに携わるユーザーは,会議ごとに別のページを分けてメモを記録したとする。後日報告用の資料を作る際に,複数のページから様々なメモを集めて新しい資料を作ったとしても,OneNoteでは各メモに関して「どの会議で記録したメモ」という情報が「タブ」に記録されている。そのため,新しい資料に移したあるメモについて関連情報を探す場合でも,タブをキーにすることで「同じ会議で記録したメモを探す」といった検索が可能になるため,より情報を見付けやすくなる。

(中田 敦=日経Windowsプロ)