マイクロソフトは11月7日,Windows XPにペン入力機能を追加した「Windows XP Tablet PC Edition」(以下Tablet PC)を発表し,同時にPCベンダー9社がTablet PCを搭載したペン入力型PCである“タブレットPC”を発表した。東京都内で開催された記者発表会で阿多親市社長は,同社が過去10年にわたってペン・コンピューティングに挑み続けてきた過去に触れ,「ノートPC用CPUの性能向上や,デジタイザ技術の発展が成し遂げられた今こそ,タブレットPCの機は熟した」と述べ,同社のTablet PCとタブレットPCにかける意気込みを示した。タブレットPCは発売後1年間で25万台(国内)を販売する目標だ。

 同日の発表会では,これまでタブレットPCの発売を表明していたソーテック,東芝,NEC,日本ヒューレット・パッカード,富士通,日本エイサー,ビューソニックジャパン,ペースブレードジャパンに加えて,新たに松下電器産業がタブレットPCの開発を表明した。ノートPCで大きなシェアを持つソニーに関しては,「製品コンセプトに対する賛同は表明していただいているし,商品化を相談しているが,開発表明はされていない」(マイクロソフトの阿多社長)と述べるにとどまった。

 同日からは,Office XPに手書き機能を追加する「Office XP Pack for Tablet PC」のダウンロードを開始した。このツールは日本語化されている。一方,米Microsoftが11月8日(日本時間)からダウンロードを開始する「PowerToys」は,マイクロソフトとして日本語化しないことも明らかにした。Power Toysには,ペンで指定した部分だけ画面キャプチャができる「Snippet」や,Windows XP Tablet PC Editionに標準搭載される手書きノート・アプリケーション「MS Journal」のファイルをサムネイル表示する「Journal Note Thumbnails」,楽譜作成ツール「Music Notepad」,ビリヤード・ゲーム「Tablet Pool」が含まれている。

 なお,タブレットPCで使われている電磁誘導式液晶タブレットは,ワコムのデジタイザ技術を採用したものがほとんどだ。しかし,Windows XP Tablet PC Editionが備える液晶タブレットのドライバと,ワコムが提供しているドライバとの間に互換性がない。そのためワコムの液晶タブレットに対応するアプリケーションが備えるペン機能を,Windows XP Tablet PC Editionでそのまま使えるようにはなっていない。

 この問題についてマイクロソフトは,ワコムのドライバに対応したアプリケーションをWindows XP Tablet PC Editionで利用できるようにするプログラム・モジュールを,ワコムと共同開発していることを明らかにしている。時期は未定だが,ワコムからプログラム・モジュールを提供する予定。これによって,フォトレタッチ・ソフトや電子カルテ・ソフト,CADソフトなど,ワコムのドライバに対応するアプリケーションのペン機能が,タブレットPCでも使えるようになる。

(中田 敦=日経Windowsプロ)