米Microsoftのエンジニアが語ったところによると,Officeの次期版「Office 11」ではセキュリティとスケジュールの面からWindows 9x/Meとの互換性はあきらめることにしたという。Microsoftは先週,Office 11の最初のベータ版を,限定されたベータ・テスターに対して配布した。新機能や改善点の詳細はいずれ明らかになるだろうが,それよりも新しい制限事項があった。Office 11のベータ1は,サービス・パック3を適用したWindows 2000かWindows XPにしかインストールすることができないからだ。何億人といるWindows 9x/Meのユーザーは見捨てられることとなる。

 「Windows 9xのサポートをやめたのはいくつかの理由がある」とOffice 11のテスター向けサポートを担当するSload Crayton氏は語る。「あなた方が指摘するようにWindows 98およびWindows 98 SEはすでにやや古いものとなっている。そのため,セキュリティの改善を実現するのが難しくなりつつあり,Windows 9xではセキュリティ面で弱い部分を残ってしまっている。私たちは,この決定が全員の顧客には受け入れられないことは理解しているが,より優れたかつより安定した製品を作るためには必要なことなのだ」という。

 Crayton氏は,9x/MeをサポートすることはOffice 11の開発期間を延ばすことになり,すでに発表している2003年半ばの出荷のスケジュールに影響することを指摘した。「Windows 9xで満足に動作させるには,かなりの開発期間がかかる。その代わり,我々は余った労力を,進んだプラットフォーム向けのよりよい製品に仕上げることに振り向けることを決めた」と語った。

 最後に「Office 11はWindows 2000のSP3とWindows XPに搭載しているWindows Installer 2.0が必要となる。このインストーラを使えば,インストールに必要な要素が少なくなり,Officeをインストールした後も再起動する必要が少なくなる」とも書いている。

 しかし,Windows 9xをサポートし続けた方がいいという理由もいくつかある。半数以上の企業ユーザーは,これらのOSを使い続けている。これらのユーザーが新しいOfficeを使いたい場合は,OSのアップグレードを強制されて新しい追加料金が発生することになる。

 Microsoftでは,Office 11ではWindows 9xのサポートをやめるといったにも関わらず,サポートを継続する可能性についもて言及している。Microsoftの報道担当者は火曜日に「この点に関して私たちはまだテスト中で最終的な決定はまだしていない」と語っている。