米Microsoftの最高経営責任者Steve Ballmer氏は10月9日に開催されたGartner Symposium/ITxpo2002で,2003年半ばに提供するOfficeファミリ次期版に「XDocs」(開発コード)というソフトを追加すると発表した。XML(Extensible Markup Language)とXML Webサービス技術をベースに開発されており,「見栄えがよく,最新のデータが入ったフォームを用いることで,能率的に情報を集めて創造的な仕事ができるようになるソフト」と位置付けられている。

 Ballmer氏によるとXDocsは「社内に散在しているデータを集め,再利用するための新しい方法。情報がよりスムーズに伝わるようになり,より実際の情報に基づいた意思決定や,組織全体を通じたビジネス・プロセスと人との大規模な統合を可能にする」という。

 このソフトは長らく使われているワープロ・ソフトのように動作するとともに,フォーム・ベースのユーザー・インターフェースを使って他のソースからXMLデータを取り込めるようになっている。MicrosoftでXDocsを担当するXMLチーフ・アーキテクトのJean Paoli氏は「フォームによってユーザーは,発注書や備品申請などを自由にデザイン・編集できる。一方,売上状況や在庫情報,プロジェクト・メモ,旅行のスケジュールや性能評価などのように,更新が激しいデータを扱うことができる」とする。

 同氏によれば「革新的な特徴の1つは,抽象的なデータ構造をユーザーが伝統的なワープロ環境で修正できる点。抽象化されたデータ構造に対して,リッチ・テキスト・フォーマットや表と画像の表示,オート・コレクト機能が使える。加えてXDocsは,業界標準のXMLスキーマとビジネス・ロジックの妥当性検証を行い,データ・エラーを防ぐ。また,ユーザーが自分のコンピュータにフォームを保存でき,オフラインでも作業が可能になっている」という。

 XDocsは,開発コード「Office 11」で知られるOffice次期版とともに2003年半ばに出荷される予定だが,Microsoftはこれを独立した製品とするか,Officeや個別のアプリケーションの技術的なコンポーネントにするかは明確にしていない。Office 11の最初のベータ版は30日以内に出荷される予定である。