米Intelは,2002年第4四半期に予定していた3GHz版Pentium 4の出荷開始時期を前倒しし,今秋にも市場へ投入する。数カ月以内に2.8GHz版Pentium 4も投入予定である。ちなみに現在の最速版Pentium 4は2.53GHz動作である。スケジュールを前倒ししたことで,年末商戦モデルへの3GHz版Pentium 4の搭載が可能になり,Intelは競合他社のラインナップに対して性能面で大幅に優位に立てることになる。

 Intelが突如製品リリースを加速させたのは,米Advanced Micro Devices(AMD)や米Motorola,米IBMなど競合他社へ揺さぶりを掛けるためだ。例えばAMDのAthlonはまだ2GHzの壁を破れていないし,アップグレードのペースも遅い。米Apple Computerが採用しているPowerPCプロセッサの開発元であるMotorolaとIBMはさらに後れを取っている。現在,最速のMacintoshは1GHz動作である。Appleは「メガヘルツ神話」を払拭しようと躍起になっているが,Appleのシステム性能がIntelのそれに遠く及ばないことが実際のベンチマークではっきりしてしまっている。Intelが競争相手に対して圧倒的優位に立っているのはもちろん莫大な研究開発費を投じているせいだ。Intelは年間で実に40億ドルもの研究開発費を掛けている。

 Intelは,年末まで新しいPCを待ちたくないという顧客に対しては,既存製品価格の大幅な切り下げで対応している。最もポピュラな1.8GHz版Pentium 4の下げ幅は13%に止まっているものの,最上位モデルである2.53GHz版のPentium 4には63%もの値下げを施している。つい1週間前に比べてIntelのプロセッサは平均で25~30%も安くなった。この大幅な値下げは,明らかに今回の出荷スケジュールの前倒しに対応したもの。高速版の出荷スケジュールが明らかになってもなお現行のモデルを選ぶユーザーへの動機付けになっている。