米Oracleのアナリスト向けの説明会で,CEOのLarry Ellison氏から思いもよらない言葉が聞かれた。Oralceは今後,同社最大のライバルであるMicrosoftを成功に導いた数多くの戦略を採用し,安価に統合されたソフトウエア・スイートにフォーカスする――という。「統合型のパッケージは常に勝っている。専門家の寿命は短い」とEllison氏はいう。今年遅くにOracleは,MicrosoftのExchange Serverなどと競合する「Oracle Collaboration Suite (OCS) 」などの製品を発売する予定だ。

 いつものようにEllison氏は,説明会でMSを穏やかにからかうことに時間を費やした。同社は,長い間MSに次ぐナンバー2のソフトウエア・メーカーであった。「ビル(・ゲイツ)は天才だ。しかし,われわれの会社で彼が働く必要ない。われわれは彼が言うことを聞いていればよい。その方が安く済む」と彼はジョークを飛ばす。「OCSは,Outlookをインテグレートし,電子メール,音声メール,文書,グループの予定をOracleのデータベースに蓄える。このソフトウエアは,MSのソリューションに比べて,もっとセキュアで,安い」という。

 OCSは,Oracleが2年以上前に発表していた「インターネット・ファイル・システム(IFS)」技術の1つを含んでいる。IFSは,OS無しでOracleのデータベースを動かす計画でWindowsが不要になる技術。「SQL Server 2003」(開発コード名Yukon)でWindowsのファイル・システムを実現するというMicrosoftのプランも,IFSと似たような胡散臭さを感じるが,Microsoftは「Storage+」と呼ばれていたころからこのプランをずっと進めてきた。データベース・ファイル・システムは,長年コンピュータで最も神聖な部分だったのだ。OCSにおいて,Oracleの顧客はIFS戦略の実現を目にすることになるかもしれない。「われわれは長い時間をかけてこの製品を構成する各要素を作り上げた。これらすべての問題を解決するためにずっと努力してきた。簡単ではなかった」とEllison氏はこれまでの苦労を語った。

 OracleがPCのデスクトップにまで手を伸ばす動きは,米Sun Microsystemsのような他のサーバー製品ベンダーの動きと歩調が合う。Sunは,最近スイート・パッケージ「StarOffice」(日本ではStarSuite)の新バージョンをリリースし好評である。OracleとSunがためらいがちにデスクトップ市場に手を伸ばそうとしている一方で,MSがよりスケーラブルなサーバー市場やサービスに向かっていることは興味深い。