Compaq Computerを吸収合併した新生Hewlett-Packard(HP)は,バックアップ用のテープ規格として,LTO(Linear Tape Open)を中心に営業活動を進めていくことを明らかにした。これは日本アイ・ビー・エム,日本ヒューレット・パッカード,日本シーゲイトの3社が6月25日に開催した技術説明会の中で,講師のStephen Holmes氏(米HPのLTO Business Manager)が語ったもの。

 テープ1本当たり100Gバイト級のテープ規格には(1)HP,Seagate,IBMの3社が共同推進するLTO Ultrium,(2)DLTの後継でCompaq,Quantumが推進するSuper DLT,(3)ソニーのAIT--などがある。トップ・シェアのDLT/Super DLTに対して,LTO Ultriumがオープン規格と高性能を前面に出して,シェア争いをしているところだ。いままでCompaqがDLTおよびSuperDLTを採用し,HPがLTO Ultriumを採用していたが,合併により新生HPがどちらのテープ規格を優先して採用するのか注目されていた。

 Holmes氏によると「HPはCompaqを吸収合併したので,顧客にどちらのテープ規格がいいか聞かれたら,LTOを勧めている」という。LTO規格は,データ転送速度が高いうえ,薄型なのでライブラリに高密度実装できる。一方,記憶容量ではSuperDLTの方が110Gバイトと,LTO Ultriumの100Gバイトよりも大容量であるが(いずれも非圧縮),「2003年第1四半期に出荷予定の第2世代のLTO Ultriumでは,記憶容量は2倍の200Gバイトになり,データ転送速度も2倍になる」とLTO規格の将来性について強調していた。また2005年に登場する予定の第3世代以降には,「データ・プロテクション機能を付加する予定で,より高機能なメディアになる」という。

 ただし,HPでは,DLT/Super DLTビジネスから撤退するわけではなく,従来の顧客のためにも,販売とサポートは継続していくという。

(木下 篤芳=日経Windowsプロ)