米Hewlett-Packard(HP)と米Compaq Computerが合併した新生HPは5月7日,今後の社内体制や製品統合に関する指針を明らかにした。HP,Compaqともエンタープライズから個人向けまでフルラインで製品を提供しており,多くの製品が競合している。新生HPは製品の取捨選択に当たり,市場シェアやブランドの知名度を基に製品ラインを整理したとしている。

 ビジネス・グループは4つに分けられた。各種サーバーや企業向けのストレージ,ソフトウエアを扱う「エンターブライズ・システム・グループ」,ITサービスを提供する「HPサービス・グループ」,プリンタやスキャナ,デジタル・カメラを扱う「イメージ&プリンティング・グループ」,企業と個人向けのデスクトップPCやノートPC,ワークステーション,PDA(携帯情報端末)を扱う「パーソナル・システム・グループ」だ。

 製品の統廃合に関する概要は以下の通りである。今後3年間にわたる製品分野ごとの詳細なロードマップは,各ビジネス・グループから引き続き発表される予定だ。

 32ビット・プロセッサを搭載するPCサーバーは,一部の製品を除いてCompaqのProLiantを採用する。ローエンド製品の一部はHPの製品を引き続き提供する。ブレード・サーバーはデータ・センター向けにProLiant,通信業界向けにHPの製品を提供する。管理ツールはHPのToptoolsコンソールを利用できるが,CompaqのInsightマネージャに移行する方法も提供される。ストレージ製品では,ハードウエアはCompaqのStoregeWorks,管理ソフトウエアはHPのOpenViewを残す。

 次世代の64ビットCPUであるItanium2(開発コード名McKinley)を搭載する製品は,HPが発表したロードマップに沿って製品化する。次々世代のItanium(開発コード名Madison)が出荷されるまでに,ローエンドからハイエンドまで,無停止サーバーを含めてItaniumベースのサーバーを用意する。RISCベースのUNIXサーバーは現状のまま残すが,将来はItaniumベースの製品に置き換える。無停止サーバーはHPが該当製品を持たないためCompaqの製品をそのまま残すが,これも将来はItaniumベースの製品になる。

 企業向けのデスクトップPCとノートPCに関してはCompaqのブランドを残す。HPのデスクトップPCである「Vectora」とノートPCの「Omnibook」は9~12カ月の間に吸収される。一方,コンシューマ向けパソコンはブランドの知名度が重要視されるため,基本的にデスクトップ,ノートとともに両社のブランドを残す。ただし,販売地域によってブランドを整理することもあるとしている。

 Pocket PCベースのPDAはCompaqの「iPAQ」に統合される。HPの「Jornada」は2002年内に姿を消す。企業向けのページ・プリンタとコンシューマ向けのインクジェット・プリンタやスキャナはHP製品を継続し,Compaqブランドは廃止される。デジタル・プロジェクタは12カ月以内に統合するとしているが,結論は出ていない。

 日本法人の日本ヒューレット・パッカード(HP)とコンパックコンピュータは,数カ月内をめどに合併する予定。新生日本HPの人事は,現日本HP社長の寺澤 正雄氏が代表取締役会長に,現コンパック社長の高柳 肇氏が代表取締役社長に就任する予定と発表された。

(茂木 龍太=日経Windowsプロ)