米Microsoftが次期サーバーOSであるWindows .NET Serverのリリースを2003年半ばに延期した,と米InfoWorld誌が報道した。Microsoftは,当初,2001年末に出荷する計画を立てていたが,何度も変更になっている。まず,2002年初頭に変更になり,次に2002年前半,2002年後半になり,2003年初頭と段階的に遅れを発表してきた経緯がある。

 「2003年半ばというのはあくまでも目標である。製品がセキュアになるまでどうなるか分からない。セキュリティは最優先事項である。Windows .NET Serverの出荷時期はセキュリティ・チェックの状況次第で変わる」とMicrosoftのラテン・アメリカ・マーケティング・マネージャのEnrique Murray氏はInfoWorld誌に語っている。

 Windows .NET Serverには,Windows 2000 Serverと同様にWindows .NET Server,同Enterprise Server,ハイエンドの同Datacenter Serverがあるほか,Webサーバー向けにWindows .NET Web Serverが新しく用意される。機器組み込み用のバージョンもある。中小企業向けには,Small Business Server 2003と呼ばれる統合製品も用意される。

 定期的に遅れを発表しているので,Microsoftは,Windows .NET Serverのロードマップを定期的に更新している。初夏に最初の製品候補版(RC)が出るはずだったが,空中分解してしまったようだ。ベータ・テスターは,ベータ3の後にリリースされた2番目のビルドを受け取っている状況である。

 恐らく,Microsoftが製品の出荷を遅らすことに文句をいう企業ユーザーはほとんどいないだろう。ただし,定期的な遅れは,さらに次のOSであるLonghornのリリース時期にも影響してくる。LonghornはWindows XPに似たデスクトップOSも含む。そのため,Windows .NET Serverの出荷が遅れることで,クライアントOSのスケジュールにも影響してくるわけだ。

 Microsoftは,1995年から毎年なんらかの形でデスクトップOSのアップグレードを行ってきた。今年のアップグレードは,Windows XPのService Pack 1(SP1)のリリースである。ところが,Windows XP SP1のリリースからLonghornまでの期間が徐々に開いてきた。そのため,2003年の商戦で新しいデスクトップOSを販売できるようにするのに,Microsoftは,Windows XPのSecond Edition(SE)を開発するのではないだろうか。

 その他に,Microsoftが採る選択肢として,単純に現在開発中のWindows .NET Serverをキャンセルして,その代わり,Windows .NET Serverの機能を新しいLonghornベースのサーバーOSに組み込んだり,Windows 2000 Serverのアップグレード・モジュールとして提供するシナリオが考えられる。

 Windows .NET Serverの遅れを発表する前に,MicrosoftはLonghornを2004年遅くに出荷すると発表している。しかし,これもまだ確実ではない。