ボーランドは2月19日,C++開発環境の新版「C++Builder 6」を発表した。3月19日に出荷を開始する。強化された部分は2001年7月に出荷を開始したObject Pascal開発環境「Delphi 6 日本語版」とほぼ同等で,インターネット上の分散システム構築のインフラとして急速にニーズが高まっている「Webサービス」の開発機能などが追加されている。

 パッケージは「C++Builder 6 Enterprise」(36万円),「同Professional」(6万8000円),「同Personal」(1万円)の3種類ある。Enterprise版は分散アプリケーションの開発など企業内のシステム開発向け。Professional版はデータベース・アプリケーションなど,比較的小規模なシステム開発向けで,Webサーバー・アプリケーションやWebサービスの開発機能などが省略されている。Personal版はC++の学習者向けで,基本的なWindowsアプリケーションを開発する機能のみを備える。Delphi 6やJava開発環境「JBuilder」では学習者向けのエントリ版を無償で公開したが,C++Builderでは無償公開を行わない。「無償のC++学習ツールとしては『Borland C++ Compiler』を公開しているため」(ボーランド 安藤由男社長)だという。

 併せてボーランドは,Linux版のC++Builderを2002年中にも出荷開始予定であることを明らかにした。製品の名称は未定。Windows/Linux共通のライブラリ「CLX(Component Library for Cross Platform)」を利用することで,アプリケーションのソース・コードを共通化できるようになる。これまでボーランドはDelphiとKylixでクロスプラットフォーム開発環境を提供しているが,Object Pascalという独自仕様の言語によるものだった。Linux版C++Builderがリリースされれば,開発者の多いC++について同様の開発環境を提供できることになる。

(斉藤 国博=日経Windowsプロ)