米Intelは2月5日,iSCSI(SCSI over IP)向けに専用プロセッサを搭載したギガビットEthernet用のアダプタ「PRO/1000 T IP Storage Adapter」を発表した。既に量産を開始し,3月には695ドルで一般にも販売する予定(5製品を1組にした価格は3125ドル)。
iSCSIは,SCSIコマンドをTCP/IPパケットに組み込むことで,Ethernet経由でストレージ装置を制御する技術。iSCSI対応のストレージ装置はEthernetに直接接続され,サーバーからローカル・ドライブとして利用できる。ネットワーク・ドライブとしてアクセスするCIFS(Common Internet File System)やNFS(Network File System)などのファイル・アクセス方式よりオーバーヘッドが少なく,処理性能が高い。現在iSCSIは,IETF(Internet Engineering Task Force)が標準仕様を策定中。米Cisco SystemsやIBMなど一部のベンダーからiSCSI対応のルーターやストレージ装置が出荷されている。
iSCSIを1Gビット/秒以上のEthernetで利用しようとすると,TCP/IPのパケット処理とSCSIのコマンド処理によりサーバー側のCPU負荷が重くなる問題がある。そのため,Ethernetアダプタにはオフロード・エンジンと呼ばれる専用プロセッサの搭載が必須条件といわれていた。今回発表された「PRO/1000」は,オフロード・エンジンとして同社が独自開発した「IOP310」というチップセットを搭載し,処理性能を高めている。他に同社のギガビットEthernet制御チップ「82544EI」も搭載している。
iSCSI向けにオフロード・エンジンを搭載したEthernetアダプタは,米Adaptec,米Emulexなどが開発を進めている。iSCSI対応のギガビットEthernetアダプタが増えることでiSCSIの普及に弾みがつきそうだ。