日本IBMは,PCシステム管理ソフトの新版「IBM Director V3.1」を1月25日から出荷すると発表した。eserver xSeriesをベースに稼働するクライアント/サーバー・システムの管理に利用できる。標準使用料金9万2700円(1サーバー,1ユーザー・アクセスの場合)で販売するほか,2月初旬出荷分のeserver xSeriesからCD-ROMを添付する。ハードウエア自己診断機能の改良などが特徴。

 新版はハードウエアの問題を稼働中も可能にする「リアルタイム自己診断機能」を備える。これまではシステムを停止して一種のメンテナンス・モードにしなければ診断できなかった。新版ではWindows 2000ベースのOSにおいて,稼働中の診断が可能になっている。CPU,フロッピ,シリアル/パラレル・ポート,ビデオ・ポート,ハードディスク,ServerRAID,SCSIテープ装置,システム管理プロセッサー,メモリー,Lightpath診断機構,Fibreアダプタが診断できるという。

 リアルタイム自己診断機能を実現するプログラム・モジュールは,内部的にCIM(Common Information Model)という標準インターフェースを利用し,Javaで書かれていることで拡張や移植が容易になっているという。IBM Director以外でもCIMに対応した管理ツールであれば診断情報にアクセスすることが可能だ。また,周辺機器がCIMとのインターフェースをサポートしていれば,それを追加したときに診断内容をその周辺機器にまで広げられる。現行の自己診断モジュール(バージョン1)ではこれでQlogic製FibreカードやSeagate製SCSIテープ装置が診断できる。数カ月後に提供されるバージョン2では,IntelおよびBroadcom製Ethernetアダプタ,LSI LogicのSCSI RAIDアダプタに対応する予定。バージョン2ではLinuxへの移植も予定している。

 新版V3.1ではさらに,メモリー・リークが生じたときの対処機能「ソフトウエア・レジュベネーション」を強化した。前版ではメモリー・リークを検出するとシステム全体を再起動したが,新版ではメモリー・リークを検出したアプリケーション・サービスだけの再起動が可能になっている。このほか,サーバー故障時の部品交換作業を支援する機能,PC資産管理機能の強化が行われている。監視対象は,Windowsに加え,カーネル2.4を含めたLinuxやCaldera OpenUnixなどに広がっている。

 管理サーバーを構築して,監視対象にエージェントを導入する形態で利用する。管理サーバーとしてサポートするOSは,Windows 2000 Server/同Advanced ServerまたはWindows NT Server 4.0(SP4以降)。監視対象OSは,Windows 2000 Server/同Advanced Server,Windows NT Server 4.0(SP4以降),Windows 2000 Professional,Windows NT Workstation 4.0(SP4以降),Windows 98,Windows Me,Red Hat Linux,Novell NetWare,Caldera OpenUnix。

(干場 一彦=日経Windowsプロ)