米Microsoftに対して反トラスト法訴訟を起こした18州のうち9つの州は11月6日,和解案を拒否し法廷闘争が続くことになった。異議を唱えた9つの州は,カリフォルニア州,コネチカット州,フロリダ州,アイオワ州,カンザス州,マサチューセッツ州,ミネソタ州,ユタ州,ウェストバージニア州。これらの州が,Microsoftの和解案を検討するには不十分であると不満を唱えた。一方,イリノイ州,ミシガン州,ニューヨーク州,オハイオ州の4州はいったんは拒否したが,最後の瞬間にMicrosoftから譲歩があり,合意することにした。

 Thomas Reillyマサチューセッツ州司法長官は「これは消費者や競合会社にとって良くない取引だ。最終的にこの国の経済にとっても,悪い取引になるだろう」と述べた。「Microsoftは合意に署名した5分後には,合意を破棄するような抜け道を探すだろう。それは疑問の余地がない。それが彼らにとって当たり前のことで,これまでもやり続けてきたことだ」。

 合意に達した4つの州は5日夜にMicrosoftから譲歩を提示され合意に達した。譲歩の内容とは,
(1)「Windows Server以外の製品に関する技術情報の共有」。オリジナルの和解案の中で,MicrosoftはWindows 2000 Serverとその後継製品に関する技術情報の共有に同意したが,適用範囲を広げた。
(2)「セキュリティ上の例外を取り除くこと」。オリジナルの和解案の中では,セキュリティ上問題がある場合を除いて,サード・パーティとの情報の共有に同意するというものだったが,譲歩した内容では,Microsoftはこの言文の意味を限定した。
(3)「州に取り決め順守の執行を許す」。順守の項目は譲歩した内容では,マイクロソフトが取り決めを守るように,州にもっと活動的な役割を与えることになった。
(4)「通信プロトコルにはインターネットを含む」。これはおそらく最も重大な追加項目だ。これまで和解案が .NET製品をカバーしていなかったという不満があり,同社は通信プロトコルとして,ローカルなネットワークだけでなく,インターネットも含めるようにした。
(5)「ISVの再定義」。オリジナルの和解案では,ISVは「independent software vendors」であったが,譲歩した内容ではもっと一般的に「ソフトウエア製品を開発・販売する誰でも」と定義された。

 6日に行われた,マイクロソフトの弁護団と合衆国司法省,18州との会合では,マイクロソフトから出ていた反トラスト法訴訟の一時停止要求を,Colleen Kollar-Kotelly判事が却下。そして今後数カ月の予定を述べた。まず,拒否した州は3カ月で合意案の詳細な分析まとめる。そして,なぜ合意案が有効でないかを説明しなければならず,合意案の救済策を挙げること。3月に判事が救済策に関するヒアリングを行う,というものだ。

 一方,マイクロソフトのBill Gates会長は声明を発表した。「我々は,州が満足いく検討のためにどんな労でも惜しまない。みんなが前進するようにしたい。昨日,州からの要望があり,我々は合意案を明瞭にし,関係者の意図をよりよく汲み取るように,いくつかの追加項目を作成した。我々は残りの州がこの合意に参加できるよう望んでいる。そうすれば,みんなが将来へ向けて集中できるし,これ以上の訴訟の遅れや不要な経費を避けることになる」と述べた。