デルコンピュータ,日立ソフトウェアエンジニアリング,マイクロソフトは10月31日,3社が協力してERP(統合業務パッケージ)の導入支援サービス「IT Showcase導入支援サービス」を拡販すると発表した。このサービスは,世界各国のマイクロソフトで利用されている業務システムをパッケージ化した「IT Showcase」を利用して,ERPと密接に連携したフロントエンド・システムを短期間で開発するものである。サービスの提供はデルコンピュータのデル・テクノロジー・コンサルティング(DTC)が行い,マイクロソフトやパッケージ化の開発元である日立ソフトが営業活動やコンサルティング/導入作業を支援する。

 ERPシステムを導入する際には,ERPと連携した社内のワークフロー・システムや情報系システムなど,各種のフロントエンド・システムも一緒に整備する必要がある。ERPに入力すべきデータを効率よく収集・転送したり,ERPが出力する各種の情報を素早く関連部署に伝達したりするためである。従来,ERPのフロントエンド・システムはグループウエアなどをベースに独自開発することが多かったが,ここにIT Showcaseを利用することで,開発期間の短縮と導入コストの削減を図る。

 IT Showcaseは,経費精算,勤怠管理,労務費管理,人材管理,購買管理などのアプリケーションで構成されている。ユーザー・インターフェース部分には,一般のエンドユーザーになじみのあるExcelやInternet Explorerなどを使い,サーバー側にはIIS(Internet Information Services)やDCOM(Distributed Component Object Model),Active Directoryなどの機能・技術が組み込まれている。

 デルコンピュータは,導入コンサルティングから,ERP(SAP社製)とIT Showcaseを統合したシステムの実装までを支援する。技術的な検証作業は,デル社内に開設した「SAPコンピテンスセンター」で実施する。このシステム・インテグレーションに必要なハードウエアやソフトウエアも提供する。デルは2001年8月にSAPジャパンの「mySAP.com」の導入支援サービスを開始しており,今回発表したサービスも既存のERP関連サービスの延長線上にあるという。日立ソフトは,システム・インテグレーションの段階でIT Showcaseに関する技術サポートをデルに提供する。さらに,日立ソフトとマイクロソフトが共同運営するシステム検証ラボの「X-Business Solution Center」を利用して技術検証を実施する。

 IT Showcase導入支援サービスのモデル価格(1000ユーザー時)は,IT Showcaseのライセンス(最小構成),サーバー・ハードウエア/ソフトウエア,SE費込み)で3980万円から。

(渡辺 享靖=日経Windowsプロ)