米Microsoftは,ソフトウエア・アシュアランスで知られる新ボリューム・ライセンス・プログラムの本格的な開始を延期し,移行期間を2002年の7月31日まで延長する。新ライセンス・プログラムはほとんどすべての企業ユーザーにとって値上げとなるため,ユーザーの反発を買っていた。

 Microsoftの発表(該当サイト)などによると,今回の延長はあくまで猶予。少し時間を与えれば,新ライセンス・プログラムに顧客が同調すると考えているようだ。

 「10月1日に開始した新ライセンス・プログラムは大きな改善で変化だった。顧客は,5カ月の移行期間では不十分だと我々に告げた。昨今の景気動向も考慮すると,顧客は明らかに正しい。顧客の声を聞いた後,弊社は,すべての顧客が現行ライセンスを十分調査し,新しいオプションを評価し,ソフトウエア・アシュアランスを効果的に使う方法を決めるため,移行期間を延長して時間を与えることにした」(Microsoftのワールドワイド・ライセシング&プライシング担当リーダーのBill Landefeld氏)。

 しかし,現実には,マイクロソフトの新しいライセンス・プログラムに対する反対が大きなうねりとなっている。Microsoftの新ライセンス・プログラムでは,企業に新しいWindows製品やOffice製品を購入させて期間中自由にアップグレードするというメンテナンス契約を結ぶ。これにより,企業は9月30日までの有利な大量購入ライセンス・プログラムを打ち切られ,多くの場合,コスト高になる仕組みへの移行を余儀なくされている。

 批評家からは,顧客からソフトウエア購入の予約代金を巻き上げようとしているようなものという厳しい意見も上がっている。というのもこのプランは,最新版のソフトウエアを購入することを強制するからだ。多くの企業は3~5年でアップグレードを実施するが,新ライセンス制度は多くの企業に2年ごとのアップグレードを要請するという点で現状に合わない。

 多くの企業ユーザーがMicrosoft製品を代替したいとの調査結果もある。Microsoftによると,新ライセンス・プログラムにより,わずか20%の顧客でコストが上昇するに過ぎない。しかし,Giga Information GroupとSunbelt Softwareの最近の調査では,コストが上昇することを理由に80%のプロフェッショナル技術者が,Microsoftの新しいライセンス・プログラムに否定的感情を持っているという。同時に回答者の35%がMicrosoft製品の代替品を探しているとしている。

 Microsoftの競合相手,特にSun Microsystemsは,こうした反抗的なMicrosoftの顧客を受け入れようとしている。最近Sunは,低コストのWebサーバー・ソリューションやMS Office互換のアプリケーション・スイートなどを発表した。Linuxも低コストなどからMicrosoftの顧客が導入する可能性がある。