米Microsoftは,米国時間8月24日金曜日,次期デスクトップOSであるWindows XPの開発を完了した。Bill Gates会長とJim Allchinプラットフォーム・グループ担当副社長は,発表会の席上で大手PCメーカー6社の各代表に記念のCD-ROMを手渡した。米国では,予定通りパッケージが10月25日に発売される。

 価格は,Amazon.comが先月示したものと一致している。ホーム・ユーザー向けのWindows XP Home Editionの推定小売価格は通常版が199ドルで,アップグレード版が99ドル。ビジネス・ユーザー向けのWindows XP Professionalは通常版が299ドルでアップグレード版が199ドルである。

 Windows XPの価格は,以前のバージョンのWindowsより高いという声を聞くが厳密には正しくない。XP Homeは,Windows 9xより10ドル高いだけだ。XP Professionalは,通常版がWindows 2000 Professionalより安く,アップグレード版は同じ価格である。

 Microsoftによれば,完成版のビルド番号は2600。噂にあるような2600.1や2600.3などではない。XPのプログラム・マネージャJohn Gray氏はMicrosoftがビルド番号を2600より大きくしたとの噂に対してテスターに「ビルド番号が2600.1や2600.2,,2600.3などの噂があったが間違っている。Windows 2000の完成版に,.1,.2や.3などの番号があったろうか,Windows XPにもそれらはない」と返答している。

OEM供給版などには微妙な違い

 テクニカル・ベータ・テスターは,24日金曜日の午後に,完成版がダウンロード可能になった。ただし,それらは使用期限がある。Home Editionがベータ版と同じ180日で,Professionalは他の製品評価版でもよく見かける120日間になっている。

 アクティブなテスターは,9月遅くHome EditionまたはProfessionalを無償でひとそろい入手できる。完成版のビルドには,ProfessionalのOEM版,Professionalのボリューム・ライセンス版,小売用のHomeアップグレード版など別に細かい「バージョン」がある。基本的にすべて同じコンパイル・プロセスで同時に作られているが,それらの微妙な違いが分かるようになる。

 Microsoftによれば,MSDN(Microsoft Developer Network)ユニバーサルとプロフェッショナル・サブスクリプションのユーザーは,9月21日に完成版ビルドをダウンロードできるようになる見込みだ。Microsoftは最近,プロダクトIDを生成する方法を変更したため,以前のIDは機能しない。

「Plus! for XP」は4分野の機能を強化

 Windows XPの別売りアドオン・ソフト「Microsoft Plus! for Windows XP」の詳細も明らかになった。技術マニア向けニュース・サイト「Neowin」には,既に画面ショットが公開されている。Windows XPにインストールすると,ディジタル・メディア,ゲーム,スクリーン・セイバー,デスクトップのテーマという4分野の機能が強化される。推定小売価格は39.99ドル。

 ディジタル・メディア関係では,PCに接続したスピーカーの音質を改善する「Plus! スピーカー・エンハンスメント」が利用可能になる。音の透明感や豊かさがよくなるという。「Plus! パーソナルDJ」を使うと,カスタマイズしたプレイリストを簡単に作成できるようになる。

 ほかには「Plus! ボイス・コマンド for Windows Media Player」,「Plus! CDラベル・メーカー」やWindows Media Playerの新しいスキン,新しい3次元視覚化効果,MP3オーディオ・ファイルをWMA(Windows Media Audio)フォーマットに変換しハードディスクにセーブできる「Plus! MP3オーディオ・コンバータ」がある。

 新しいゲームとしては,「ロシアン・スクエアズPlus! Edition」,「ザ・ラビリンスPlus! Edition」,「ハイパーボウルPlus! Edition」が用意される。

 デスクトップのテーマは,改良された写真表示やスクリーン・セイバー,アイコン,音声,ポインタ,Windows Media PlayerのスキンなどXPの機能をまとめて使いデスクトップのデザインを変更するものになった。テーマには「Plus! アクアリウム」,「Plus! スペース」,「Plus! ネイチャー」,「Plus! ダヴィンチ」がある。

 新しいスクリーン・セイバーとしては「Plus! マイ・ピクチャ」,「Plus! ロボット・サーカス」「Plus! サンド・ペンジュラム」「Plus! マーキュリ」のほか,新しいデスクトップのテーマに対応して4種類が用意される。

無償オプションPowerToysもXPに対応

 Microsoftは,ベータ・テスターに,Windows XP用にデザインされた新しいPowerToysも配布している。PowerToysは,複数のプログラムの総称で,現在,MicrosoftのWebサイトから入手できる。導入するとベースとなるOSに細かい機能が追加できる。いくつかのものはバグが多かったり,速度が遅すぎたりするが,XPのアドオンを開発するという観点からは興味深い。

 XP対応PowerToysは「ファスター・ユーザー・スイッチャ」,「シェル・オーディオ・プレーヤ」,「タスク・スイッチャ」,「IE検索ツールバー」,「オープン・コマンド・ウインドウ・ヒア」,「TweakUI」,「PowerToy計算機」,「写真の一括サイズ調整」から成る。

 ファスター・ユーザー・スイッチャは,Windows XPの新機能であるファスト・ユーザー・スイッチングをさらに簡単に使えるようにするもの。ウインドウズ・キーを押しながらQキーを押すと,「ようこそ」のログオン画面に戻らずに別のユーザーにスイッチすることができる。

 シェル・オーディオ・プレーヤを利用すると,「オーディオ・プレーヤ」ツールバーが,Windows XPのタスクバーに追加できる。音楽の演奏やプレイリストの表示がタスクバーから可能になる。アイデアは良いのだが,プレイリストが消えてしまうことがある。

 タスク・スイッチャは,アプリケーション切り替え操作を行うプログラム。通常は,ALTキーを押しながらタブ・キーを押すが,このプログラムを使うと開いているウインドウのスポーティなサムネイルが出るようになる。残念ながらこれはとりわけ遅い。

 IE検索ツールバーは,Internet Explorer 6に「検索」というツールバーを追加する。現在ロードしているドキュメントの内容をダイアログを開かないでテキスト検索できるようになる。

 オープン・コマンド・ウインドウ・ヒアを利用すると,コマンド・ラインを入力するためのポップアップ・メニューがどこでも開けるようになる。

 PowerToy電卓は,グラフ作成機能付きの電卓プログラム。学生時代にテキサス・インスツルメンツのグラフ電卓を買った方は馴染み深いだろう。

 一括サイズ調整は,1枚あるいは,グループ化した写真のサイズをシェルから調整する機能を追加する。いろいろな標準サイズに変更でき,オリジナルを削除することはない。

 PowerToysの中で最も興味深いのは,TweakUIだろう。以前これは,コントロール・パネルの1項目だったが,独立して実行可能なプログラムになった。Windows XP用のTweakUIの機能はより豊富になり,XPならでは設定が可能になっている。例えば,XPではちょっとした機能の説明をバルーンという吹き出しで解説してくれるが,これがうるさいと感じた場合は消去できる。

 ほかに,Windows XPが標準で用意するタスクバーのボタンのグループ化や,CD書き込み用のフォルダ,マイミュージック,マイピクチャ,マイビデオなど特殊なフォルダ(シェル・フォルダ)もオフにできる。残念ながら,まだバグは多い。

 「SuperSite for Windows」(該当サイト)では9月3日に製品版のレビューを公開する予定だ。また,Microsoftのプラットフォーム・グループ担当副社長のJim Allchin氏への独占インタビューを既に公開している。