先週,米Sun Microsystemsは,New York TimesやWall Street Journalなどの大手新聞にフルページの広告を掲載し,「消費者は,SunのJava技術がWindows XPに搭載されることを望んでいる」と浴びせかけた。同時に同社は,主要なPCメーカーに対し,Windows XPプリインストール・マシンへJava VM(仮想マシン)をインストールするよう要請している。

 事件の発端は,先だってMicrosoftが,Windows XPにJavaを標準搭載しないと表明したことにある。Javaが必要な場合,ユーザーはWindows Updateサイトからダウンロードする必要がある。

 「ユーザーの使い勝手を向上させる目的で,Javaアプレットは600万以上のWebページで利用されている。社内システムに対するセキュリティを確保する手段やWebベースのアプリケーションを容易にアップグレードする手段,Webアーキテクトがサービスを運用する手段としても使われている。Microsoftには最新のJava 2プラットフォームをライセンスするという選択肢もあった。しかし,それはなされなかった」。Sunはこの事件に対する報告書でこう述べている。

 SunとMicrosoftがJavaに関して衝突したのはこれが初めてではない。97年には,SunがMicrosoftをJavaに関するライセンス侵害で訴えている。MicrosoftがWindows固有の技術をJavaに組み込んできたためである。

 この問題が法廷に持ち込まれた結果,両社は今年1月に和解。Microsoftは古いバージョンのJava VMのみを利用することで合意した。これに伴うMicrosoftの対応は,2001年早々にInternet Explorer(IE)6ベータ版からJava VMを削除することだった。

 「皮肉なものだ。我々は,Windowsの中にJavaを入れることをやめさせようとしたSunと,3年間も法廷で争った。その同じ会社が,今度はWindows XPにJavaが標準搭載されていないと不平を言っている」とMicrosoftの広報担当者はこぼす。

 だが本当の皮肉は,MicrosoftがIEやWindowsを通して,Java技術の唯一で最大の流通業者であることだ。これがWindows XPからJavaを削除することで生じた一連の事件の根底にある。

 Sunは,自身が開発した新しいバージョンのJava VMをWindows XPユーザーに配布する計画だ。新版は10月,Windows XPが出荷される前に無償でダウンロード可能になる。あるPCメーカーがWindows XPをインストールしたPCに搭載する予定もあるという。