日本AMDは6月6日,2プロセッサ構成に対応するサーバー/ワークステーション向けのプロセッサ「AMD Athlon MP」を発表した。同社がマルチプロセッサ対応の製品を投入するのは初めて。これまでIntelが独占してきたPCサーバー,PCワークステーション市場へ打って出る。米AMDのHector Ruiz社長兼COOは,好調なクライアント・パソコン向けプロセッサとAthlon MPとで,「ワールド・ワイドで30%のシェアを獲得する」と売り上げ拡大に向けた意気込みを語った。

 今回発表したのは,動作周波数が1.0GHzと1.2GHzの2製品。価格は1.2GHz版が3万4450円(1000個ロット時),1GHz版が2万7950円(同)。0.18ミクロンのプロセス技術を採用し,384Kバイトの2次キャッシュ・メモリーを搭載する。日本AMDはAthlon MP向けに,DDR(Double Data Rate)SDRAMメモリーに対応するチップセット「AMD-760MPチップセット」も併せて発表した。Smart MPと呼ぶマルチプロセッシング技術により,プロセッサごとに独立した266MHzのフロントサイド・バス(FSB)を持つ。

 国内では,フェイス,神代,エムシージェイ,プロトン,フリーウェイ,アロシステム,ぷらっとホーム,アイ・オー・ネットが,Athron MPを搭載したシステムを順次発売する予定だという。今後Athron MPがインテル製プロセッサの圧倒的なシェアを切り崩していくには,これらのベンダーに加えて,NECや富士通といった大手サーバー/ワークステーション・メーカーによる同プロセッサの採用が決め手になる。

 今回発表したAthlon MPは,2プロセッサ構成までの対応だが,AMDは4~8プロセッサに対応する「SledgeHammer(開発コード)」プロセッサを2002年に提供する計画だ。「x86-64」と呼ぶ64ビット・アーキテクチャを採用し,0.13ミクロンのプロセス技術で製造する製品である。同じくx86-64に対応し,2プロセッサ対応の「ClawHammer(同)」も同時期に提供予定だ。これらは,今年の終わりにサンプル出荷を開始するという。Ruiz社長は,「(2つの)Hammerによって,ハイエンド・サーバーの市場でもAMDがシェアを確保する」と自信を見せた。

(森重 和春=日経Windows 2000)