マイクロソフトは5月7日,特定用途向けの単機能(アプライアンス)サーバーを開発するための「Server Appliance Kit 2.0」を発表した。5月下旬から国内OEMメーカー各社に提供を始める。発表の席でマイクロソフトの阿多親市社長は,「現在1割程度にしか過ぎないWindowsアプライアンス・サーバーのシェアを,最低6割まで引き上げる」と意気込みを語った。

 マイクロソフトはServer Appliance Kitを使ったアプライアンス・サーバーを,「Windows Powered Server Appliance」と呼んでいる。当面は,Webサーバー向けの「Windows Powered Web Appliance」とNAS(Network Attached Storage)サーバー向けの「Windows Powered Network Attached Storage Appliance」に注力する。Server Appliance Kit 2.0には,この2種類のアプライアンス・サーバーを開発するためのソフトウエア・コンポーネントを含み,マイクロソフトとOEMメーカー各社が協力してこれらのサーバーを提供していく。

 Windows Powerd Server Applianceは,すでにServer Appliance Kitの従来バージョンを使った製品が販売されている。デルコンピュータや日本IBMがWebアプライアンス・サーバーを,NEC,コンパックコンピュータ,デル,日本IBM,日立製作所などがNASアプライアンス・サーバーを提供中だ。今後は新版を使った製品が各社から登場する見込みである。Server Appliance Kit 2.0は従来版に比べ,Webベースのユーザー・インターフェースを改善したほか,電子メールを使ってサーバーの稼働状況を通知する機能などを備えた。

 アプライアンス・サーバーの分野では,OSにLinuxを採用した製品が大きなシェアを占めている。実際,Windowsアプライアンス・サーバーでマイクロソフトとの協力を宣言したOEM各社の多くが,WebサーバーをはじめとするLinuxベースのアプライアンス・サーバーを提供している。

 マイクロソフトはWindows 2000ベースのアプライアンス・サーバーがLinuxを採用したサーバーよりも優れている点として,「台数が増加したときのサーバー管理のしやすさ」,「負荷分散やクラスタ機能を標準で備えていること」,「他のWindows OSと同等のサポートを提供できること」などを挙げる。これらをユーザーにアピールし,阿多社長の言う「最低6割のシェア」を実現していく考えだ。

 今回Windows Powered Server Apllianceの提供を明らかにしたのは,以下の16社。コンパックコンピュータ,デルコンピュータ,東芝,日本コンピューティングシステム,NEC,日本マックストア,日本IBM,日立製作所,フェイス,富士通,フリーウェイ,プロサイド,プロトン,フロンティア神代,三菱電機インフォメーションテクノロジー,ロジテック。大手メーカーに加えて,ノーブランドの低価格サーバーを製造・販売する「ホワイト・ボックス・メーカー」が名を連ねている点が目新しい。

(森重 和春=日経Windows 2000)