アドビシステムズが4月27日に発売するAcrobatの新版5.0が,同社製品で初めてWindows 2000ターミナル・サービスに対応する。1台のWindows 2000 ServerにAcrobat 5.0をインストールするだけで,複数台のクライアント・パソコンから同時に利用できるようになる。表計算ソフトやワープロなども同時にインストールしておけば,各アプリケーションからPDF(Portable Document Format)文書を作成する環境をサーバー上に構築でき,クライアント側にソフトをインストールする手間が大幅に省ける。

 PDF形式の文書は,WindowsやMacintoshなど複数のプラットフォーム上で文字と画像を混在させて高品質に表示,印刷できるのが大きな特徴である。閲覧と印刷だけに特化したAcrobat Readerを無料で配布していることなどから,パンフレットや雑誌の縮刷版などの用途に広く使われている。

 Acrobat 5.0では,PDFファイルの作成と閲覧という基本機能は前バージョンの4.0と同じだが,Webブラウザ上でコメントを記入する,各種画像ファイル形式とPDF形式を相互に変換するなどの機能を追加している。PDFのファイル形式のバージョンは1.4であり,新しく128ビットの暗号化や画像の透明度の設定などができるようになった。これ以外は,従来のPDF1.3形式と基本的な互換性があるという。

 ターミナル・サービス上では,Distillerと呼ぶPDF文書の作成ソフトも動作する。AcrobatでPDF形式の文書を作る際には,表計算やワープロなどのオフィス・ソフトや,様々なフォントを使う場合が多い。ディスク容量も多く使うし,インストール作業も面倒だ。この点,ターミナル・サービスを利用すると,クライアント・パソコンにはターミナル・サービスのクライアント・ソフトだけをインストールしておくだけでよい。ただし,当然ながらクライアント台数分のAcrobatのライセンスと,ターミナル・サービスのクライアント・アクセス・ライセンスが必要になる。

新出 英明=日経Windows 2000