トレンドマイクロは,インターネット・ゲートウエイ用ウイルス対策ソフトの新版「InterScan VirusWall for Windows NT ver. 3.51J」及びそのプラグイン用メール・コンテンツ・フィルタリング・ソフトの新版「InterScan eManager for Windows NT ver. 3.51J」を5月10日から発売する。いずれもマイナー・バージョンアップだが,実用上重要な改良がいくつか加えられている。

 InterScan VirusWallは,インターネットと社内ネットワークのゲートウエイ部分に設置し,電子メールの送受信やWWW/FTPアクセスを監視することでウイルスを防ぐソフト。最近主流となっている電子メールで広がるタイプのウイルス駆除に効果的である。新版では,ウイルス検索エンジンの自動更新や電子メールの配信保留機能などが備わった。

 検索エンジンの自動更新は,実用上最も重要な新機能だろう。ウイルス対策ソフトは,新種ウイルスを検出するとき,検索エンジンとパターン・ファイル両方の更新が必要な場合がある。InterScan VirusWallはこれまでパターン・ファイルの自動更新のみが可能で,新種ウイルスに必ずしも自動対応できなかった。

 電子メールの配信保留は,非常時,InterScan VirusWall側に電子メールを蓄積して,配信を止める機能。新しいウイルスが発見されてからパターン・ファイルなどを更新するまでの間,感染の可能性があるメールの流出入をメール・サーバーを止めずに防ぐことができる。

 InterScan eManagerは,電子メールの内容をスキャンして,スパム(迷惑)・メールや公序良俗に反する内容のメールなどを検出すると差し止めるソフト。InterScan VirusWallに追加導入するプラグインになっている。

 スパム・メール送付によく使われるアドレスや問題のある表現のリストが付属しており,簡単な設定で検出条件を設定できるという。新種ウイルスが出現したが対応するパターン・ファイルが作成されていないとき,メールのタイトルや本文などに特徴があるウイルスならば,このソフトを緊急のウイルス対策ソフトとして使用することも可能だ。

 同ソフトは,これまでメールのタイトルや本文のみをスキャンしていたが,新版ではテキスト・ファイルとMS Wordの添付ファイルまでをスキャン可能にした。また,Outlookがリッチ・テキストのメールを送受信するときに利用するMS-TNEF(Microsoft-Transport Neutral Encapsulation Format)という方式に対応している。

 InterScan VirusWall新版の価格は1サーバー・30アカウントで36万円から,InterScan eManager新版は1サーバー95万円からなど。対応OSは,Windows NT Server 4.0またはWindows 2000 Server/同Advanced Server(ターミナル・サービス,クラスタ・サービスには未対応)。

(干場 一彦=日経Windows 2000)