米Microsoftは3月19日,個人ユーザー向けWebサービス群「HailStorm(開発コード名)」を発表した。Webサービスとは.NET対応のWebアプリケーションを構築するためのソフトウエア部品のこと。HailStormに含まれるのは,ユーザー認証サービス「Passport.NET」,インスタント・メッセージ,Webベースのアドレス帳とスケジュール帳などだ。

 HailStormは,多くのWebアプリケーションにとって汎用機能に相当する。アプリケーションの開発者は,HailStormを利用することで開発の手間を省くことができる。一方,エンドユーザーにとってもアプリケーションの使い勝手が統一されるというメリットがある。

 Microsoftにとっても,HailStormの利用が広がることで.NET環境の個人ユーザー向けプラットフォームを制することができる。HailStormが.NETのクライアント機能としての事実上の標準になれば,サービスへの課金という形でビジネスを展開できる。.NETのクライアント環境にはWindows以外のOSやパソコン以外の端末も含まれるが,.NETアプリケーションがHailStormを使う限り,端末の種類に関係なくビジネスの対象にすることができる。

 ただし,これを実現するためにはHailStormを使った有用な.NETアプリケーションが多数登場する必要がある。このためにMicrosoftは,アプリケーションの部品となるWebサービスの開発推進にも力を入れ始めている。

 例えばHailStormの発表に先立ち,3月12日にネット・オークション大手の米eBayとの提携を発表している。これはWebサービスを提供するサイトの第1弾になる。eBayは自社ブランドでのオークション・サイト運営のほか,オークション機能を丸ごと別のサイトに貸し出すビジネスも展開している。今回の提携では,機能を貸し出す際のインターフェースを.NET準拠のものに改める。借りる側はWebサービスとしてeBayのオークション機能を利用することになる。既存の有名サイトをWebサービス化した意義は大きい。

 HailStormの発表に併せて,eBayのほか米American Express,米Click Commerce,米Expedia,米Groove Networksの5社とも同様の提携を発表しており,同種の提携は今後も増えると見られる。
(斉藤 国博=日経Windows2000)