マイクロソフトは2001年3月13日,デスクトップPC用OSの次期バージョン「Windows XP Home Edition」と「同Professional」の日本語版ベータ2を,報道向け内覧会で初めて披露した。


 Windows XPを起動すると,日本語で大きく「ようこそ」と表示されたログオン画面が現れる(画面参照)。ユーザー名が大きなアイコンとともに表示されており,これをクリックしてログオンする。管理者権限を持つAdministratorが表示されないなど,初心者にも分かりやすいログオン画面になっている。なお,ログオン画面には,未読メッセージの数と,動いているアプリケーションの数を表示しているところがある。

 これは,Windows XPのFast User Switchingという新機能によるもの。アプリケーションを起動したままログオフすることなく別のユーザーでログオンできる機能だ。アプリはバックグラウンドで動いている。切り替わりにかかる時間も瞬間的で,1台のパソコンを複数のユーザーで共有している場合に便利だ。

 ログオンすると,画面右下にごみ箱のアイコンがあるだけで,シンプルなデストップ画面が表示される。タスク・バーなどのデザインは,ベータ1と比べて派手になった。マイコンピュータやマイドキュメントのフォルダは,すべてスタート・ボタンを押して現れる「スタート・パネル」に収められた。アイコンも大きくなって,見やすい画面になっている。

 内覧会のデモンストレーションで強調していたものにRemote Assistant機能がある。インターネット経由のピアツーピア接続により,手元のパソコンから離れたところにあるパソコンのデスクトップ操作を可能にするもの。ヘルプデスクのような用途に有効で,例えば,パソコンの設定やアプリケーションの操作が分からない場合に,2台で画面を共有しながらリモートで相手のパソコンを直接操作しながらサポートすることができる。

 その他には,WebブラウザのInternet Explorer 6.0や,動画や音声の再生ソフトの新版Windows Media Player8(WMP8)などが,Windows XPで標準搭載される。WMP8ではDVDの再生が可能になる。ただし,別途MPEG2のデコーダが必要。CD-R/RWへの書き込み機能を備え,WMP8で管理する音楽データなどをCD-R/RWに書き込める。なお,USB2.0のデバイス・ドライバは今のところ搭載しない。今後,どのようにサポートするのか検討中である。

 また,オフィス向けのWindows XP Professionalの独自機能として,Windows XPをターミナル・サーバーのように使えるリモート・デスクトップ接続機能を備える。自宅から会社のパソコンにログオンしたり,その逆も可能。ターミナル・サービスと同じくRDP(Remote Desktop Protocol)で接続する。Windows 2000のターミナル・サービスでは,画面を256色でしか表示できないが,Windows XPではフルカラーで表示できる。同時にログオンできるのは1ユーザーのみという制限がある。

 Windows XP日本語版ベータ2を配布する時期は,2001年4月末を予定している。製品版の正式な出荷開始は2001年後半になってから。サーバー版の出荷開始はクライアント版の3カ月後になる予定だ。

 なお,Windows 2000 Serverの後継OSの名称は未定のままだ。Windows 2000 Serverと同じく,Server,Advanced Server,Datacenter Serverの3種類以外に,Webサーバーに特化した製品の開発計画があることが明らかになった。64ビット版Windowsは,サーバー製品とProfessional版に用意される。64ビット版はハイエンド・サーバー向けと,CADなどのエンジニアリング・ワークステーション向けで,販売形態はOEMからのプリインストールのみ。

(伊藤康生)