急成長が見込まれるアプライアンス・サーバー(単機能サーバー)市場で先行するLinux勢にマイクロソフトが待ったをかけた。同社は11月7日,「Network Attached Storage(NAS)」市場に本格参入すると発表した。日本アイ・ビー・エムやコンパックコンピュータ,デルコンピュータ,NECなど7社が,今後Windows 2000を組み込んだNASサーバーを順次出荷する。

 NASとは,ネットワークに直結できるストレージを持つアプライアンス・サーバーの一種。OSとストレージのシステムが一体化しており,簡単な設定でファイルの共有や管理を行なうことができる。マイクロソフトとPCベンダーが提供するシステムの名称は「Windows Powered Network Attached Storage」で,Windowsのユーザーがシステム設定や管理,拡張などを簡単に行えることを売り物にする。

 翌8日には,マイクロソフトとNECは,Windows 2000とPCサーバーのExpress5800をベースにしたNAS事業で提携したと発表した。両社は共同で,ファイル・システムをはじめとするWindows 2000の機能・性能をNAS用に最適化する。さらにNECは,ハードウエアをNAS用のWindows 2000に合わせてチューニングするとともに,同社のシステム管理ツール「ESMPRO」をNAS用に強化する。NECは2000年内にNASサーバーを出荷する予定である。

 アプライアンス・サーバーには,NASのほか,Webサーバーやキャッシュ・サーバーがある。Webサーバーやキャッシュ・サーバーとしてのアプライアンス・サーバー市場では,LinuxやノベルのBorderManagerなど,非Windowsソフトが採用されることが多い。しかし,NASでは各種サーバー・アプリケーションやクライアント・パソコンとの親和性が強く求められる。この点ではLinuxなどよりもWindows 2000のほうが有利と言える。

 マイクロソフトがNAS向けに出荷するOSはWindows 2000 Advanced Serverと見られる。サーバー・メーカーへの提供価格は未公表。
(渡辺 享靖=日経Windows2000)
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