マイクロソフトインプライズの日本法人トップがほぼ同時期に交代したことが明らかになった。

 マイクロソフトでは5月1日付けで古川享会長と成毛真社長が退任した。成毛社長から阿多親市新社長(もとマイクロソフト常務)への交代は3月14日に発表された通りで,今回特に目新しさはない。ただ,古川氏の退任はこのほど明らかになったものだ。古川氏は4月19日に米Microsoftのバイスプレジデントに就任しており,今後はそちらの業務に専念する。Craig Mundie上級副社長のもとで働くことはこれまでと同様で,Microsoftの将来に向けたビジョン,およびその日本向けの部分を担当することも変わりがない。オフィスも日本に置き続ける。ただ,「米国本社のVPとして活動することで,これまでより大きな権限を持つ」(マイクロソフト広報)という。マイクロソフトの会長ポストは空席になる。

 一方のインプライズでは,4月30日に大木博氏が代表取締役社長を退任し,5月1日付けで「コーポレート・アドバイサー」に就任した(6月30日までの予定)。新たにインプライズを代表することになったのは,大和茂(やまとしげる)代表取締役である。両氏はいずれも1983年に米Borland製品を取り扱い始めたマイクロソフトウェアアソシエイツで働き,89年にボーランドジャパンを設立したときに,大木氏が副社長,大和氏が取締役に就任した。大和氏は94年にボーランドの常務に就任,今回代表取締役となった。同社は当面社長という役職を置かず,大和代表取締役と安藤由男常務(営業・マーケティング担当,RADツール事業部事業部長を兼務),井津國一郎常務(R&D・プロフェッショナルサービス担当,技術部長を兼務)の3人から成る「経営委員会」によって運営していくという。

 マイクロソフトの古川会長,成毛社長という体制は91年11月から2000年4月まで続いた。インプライズの大木社長も94年8月に社長に就任しているので,在任期間は6年弱と決して短くはない。この時期に両社のトップ人事があったのは,ソフトウエア業界が転換期を迎えている一つの"あかし"かもしれない。