米Borland Internationalは4月29日,同社の社名をInpriseに変更すると発表した。新社名のInpriseは,Integration the enterpriseからの造語で,今後,パソコン用開発ツール・ベンダーから企業情報システム向けのアプリケーション・サーバー開発のベンダーとして大きく生まれ変わる方針だ。

 社名変更の理由として同社は,製品のほとんどが個人ユーザー用途から企業システム開発用途に大きくシフトしてきていることを挙げている。同社は,96年にクライアント/サーバー(C/S)・システム構築用ミドルウエアEnteraを有する米Open Environment(OEC)を買収,続いて97年11月にはORB(Object Request Broker)製品VisiBrokerを有する米Visigenic Softwareも買収した。しかし従来のパソコン向け開発ツール・ベンダーとしてのBorlandのイメージでは,顧客にアピールできなくなってきていた。社名変更を機に,C/Sシステムの中核を成すアプリケーション・サーバー開発のトップ・ベンダーとして一挙に躍り出る方針だ。新たにProfessional Services Divisionという企業システム開発者向けの専任組織を設置するなど,サポート体制の強化も発表している。

 今回の社名変更により,Borlandというブランドがなくなるわけではない。Inpriseのブランド名が適用されるのは,VisiBrokerなどアプリケーション・サーバー開発用製品。DelphiやC++Builderなどのパソコン向け開発ツールについては,従来通りBorlandブランドは残る。分散オブジェクト技術やデータベース処理など,企業システム開発向けの機能がこれまで以上に強化されるのは確実だろう。

 なお,正式な社名変更は6月5日の同社株主総会の承認を経てから。日本法人のボーランドの動向については5月12日の同社カンファレンスにて発表の未定だ。