米Sun Microsystemsは12月7日,企業向けJava基本開発キットであるJava2 Enterprise Edition(J2EE)を12月17日から正式出荷することを発表した。同社のWebサイトから無償でダウンロード可能にする。対象OSはSolarisとWindows NT。続いて2000年1月からは,J2EEのソースコードもSun Community Source Licensing(後述)に沿った形で提供する予定だ。

 Sunは6月15日に,Java2を用途に沿って三つのエディションに拡充した。クライアント向けのJava2 Standard Edition(J2SE)と組み込み機器向けのJava2 Micro Edition(J2ME)はすでに提供しており,J2EEがリリースされたことで,Java2のすべてのエディションが出そろったことになる。

 J2EEは,J2SEにEnterprise JavaBeans,JavaServer Pagesといった既存のサーバーサイドJava技術を統合し,開発キットやサンプル・アプリケーションなどを搭載したもの。XMLもサポートする。(1)Platform Specification,(2)Reference Implementation,(3)Technology Compatibility Kit,(4)J2EE BluePrintsで構成される。(1)はJ2EEが提供するAPIの仕様書。(2)は,J2EE上で動作するサンプル・アプリケーションを収録したもの。あくまでJ2EEの仕様を確認するためのサンプルで,実用システムとして使うことはできない。(3)は,J2EEで開発したアプリケーションが,さまざまなベンダーが提供する稼働環境で動作するかをテストするためのツール。(4)は,J2EEアプリケーションを作るための"お手本"を図解したドキュメントである。

 Sunは同時に,J2SEのソースコードを2000年1月からライセンス・フリーにすることを発表した。同社は98年12月から,J2SEに関してSun Community Source Licensingというライセンス規定を設定している。これは,J2SEのソースコードは無償で入手できるが,これを改変したアプリケーションを開発/販売する際はSunに対してロイヤルティを支払わなければならない,というもの。今回から,J2SEを改変したアプリケーションを開発/販売する際のライセンスもフリーにした。

 ただし,J2SEを改変したアプリケーションは元のJ2SEとの互換性を備える必要がある,という条件を付けている。Sunが提供するJava Compatibikity Kit(JCK)や同社のサポート・サービスを通じて互換性をテストし,それにパスした製品だけが「Java Compatible」のロゴを取得し,ライセンス・フリーで配布できることになる。