Linuxの国際化推進団体「Linux Internationalization Initiative(Li18nux:ライエイティーンナックス。注を参照)」は9月29日,団体の正式結成を発表した。Li18nuxは,英語ベースのLinuxディストリビューションに英語以外の言語に対応するためのパッチを当てることで生じる互換性問題の解決を狙った団体。具体的には「XXのコンポーネントを搭載していれば国際化したLinuxと呼ぶことができる」というガイドラインを文書の形で提供していく。今年5月ごろに団体を作ろうという話が持ち上がり,7月に米国で会合,今回約50の団体や会社を集めて発足にこぎつけた。

 米国在住の樋浦秀樹氏(Sun Microsystems,写真=15KB手前),日本在住の木戸彰夫氏(日本アイ・ビー・エム,写真奥),欧州在住のChris N. Simon氏(SuSE)の3氏が共同議長となって,同団体の"顔"を務める。このほかステアリング・コミッティ,技術サブグループなどの形で活動を進める。今後2年をめどに必要な仕様書を作り上げる計画だ。

 Li18nuxへの参加企業/団体として,Red Hat,TurboLinux,Caldera Systems,レーザーファイブ,SuSE,Debian JP projectなどのLinuxディストリビューション・ベンダー,Free Software Foundation,Mozillaプロジェクト,Sambaチームなどの団体,富士通,NEC,IBM,Netscape(America Online),NTTデータ,日本オラクル,ジャストシステムなどの企業が名をつらねている。各社/団体がLi18nuxの仕様書にのっとってLinuxディストリビューションを作成したり,その上で動作する関連ソフトを作るようになれば,ユーザーが英語版と日本語版との違いで悩むことは少なくなるだろう。

 Li18nuxには個人が参加することも可能で,現在のところ会費は徴収していない。Webサイトで情報を提供するほか,メーリングリストでの情報交換も実施する。

注:略称の「Li18nux」は,国際化を意味する「i18n」(internationalizationのIとnの間が18文字あるため)をLinuxに当てはめた造語。ちなみに「l10n」はlocalizationの略称であるという。なおLi18nuxの正式名称は,配布されたプレス・リリースではInternationalizationとなっているが,WebサイトではInternationalisationと表記されているところもある。Zかsか,という一点だけでも議論があるとのことで,正式にどちらとは決めにくいらしい。