サイボウズ ガルーン 2の画面
 サイボウズは,アプリケーション開発の基盤になる独自フレームワークを,オープンソース・ソフトウエアのPHPとMySQLを使って開発した。2005年6月30日には,このフレームワークを使って構築したアプリケーションの第一弾として,Webベースの大規模企業向けポータル型グループウエアの新版「サイボウズ ガルーン 2」を発売する。今後,同社のほかのソフトもこのフレームワークを使って開発する予定。さらに将来は,他社に何らかの形でこのフレームワークを提供したいとしている。

 同社が今回のフレームワーク開発に着手したのは2003年のこと。データベース管理システムにはスケーラビリティと拡張性を重視して,動作が高速で企業での導入実績が多いMySQLを採用した。プログラミング言語はPHPとJavaを検討した結果,PHP(実際にはPHP4)を選んだ。インタフェースのデザインを容易にカスタマイズできるようにするためである。ユーザー・インタフェースの実装には,PHPで利用できるオープンソースのテンプレート・エンジン,Smartyを採用。これにより,ロジックとHTMLによるデザインを完全に分離できるようになった。また,アプリケーション開発のために,ユニット・テストや,ユニットのベンチマークのためのツールも備える。文字コードにはUnicodeを使っており,文字要素さえ用意すれば多言語に対応できるので,「海外に進出しやすくなった」(青野慶久社長)。

 今回のフレームワークを使って開発したガルーン 2では,まずスケーラビリティが向上した。独自開発のデータベース・エンジンを使ってC++で開発していた従来版のガルーンは,ユーザー数が増えた場合の応答速度に問題があったため「非常に大きな企業には営業を控えていた」(同)という。さらに,管理機能を強化した。具体的には,ログの機能を強化したほか,従来組織単位で設定していたアクセス権を,役員,正社員,契約社員といった役割単位で設定可能にした。また,従来版ではバックアップを取る際にはシステムを止める必要があったが,新版はMySQLを採用したことにより稼働中にバックアップを取れるようになった。利用者向けの機能としては,Webサイトの見出しなどのメタデータを取得できるRSS(Rich Site Summary)リーダー機能を追加した。

 サイボウズは,ガルーン 2にMySQLを組み込むため,開発元であるスウェーデンMySQLからライセンスを受けている。PHPの実行エンジンにはイスラエルZend Technologiesの製品を利用した。ロジック部分のPHPコードは,英ionCubeのコード保護ツールを使ってバイナリ化している。

(日経ソフトウエア)