米Microsoftが開発したオブジェクト指向プログラミング言語であるC#が日本工業規格(JIS)として制定され,3月22日に公示された。規格名は「JIS X 3015 プログラム言語C#」。すでに,国際的な標準化団体であるEcma Internationalが2001年に,国際標準化機構(ISO)と国際電気標準化会議(IEC)が共同で設置した標準化団体ISO/IEC JTC1(Joint Technical Committee 1)が2003年にC#の規格を制定している。JISの規格化はこの流れに沿ったものである。
JIS原案は,情報処理学会の規格部門に当たる情報規格調査会の「C#言語仕様JIS原案作成専門委員会」が作成した。基本的にはISO/IECの規格を日本語訳したもの。ただ,「基の規格に存在していたバグ(誤り)をできるだけつぶしたため,より品質の高いものになった」(専門委員会の委員長を務めたCSKフェローの黒川利明氏)。バグ取りには,Ecmaで規格化に携わったメンバーの協力も得たという。黒川氏は「個人的には,果たせなかったJavaの規格化のリターンマッチのつもりだった。Microsoftが開発した言語ということで波風も立ったが,Microsoftにはずいぶん助けてもらった」と語る。
マイクロソフト,デベロッパーマーケティング本部プロダクトマーケティング部の北川裕康部長は「(複数のプラットフォーム間での)相互運用性が高まる点」を規格化のメリットとして挙げる。C#アプリケーションの実行環境であるCLI(Common Language Infrastructure)もすでにEcmaで規格化されており,今後JISでCLIが規格化されれば,C#の応用範囲がさらに広がると期待できるという。
また北川部長は「規格化により,教育機関や政府機関にもC#が広がると期待している」と語る。電気通信大学は2005年度からC#の講義を導入することを決定している。
(日経ソフトウエア)