サン・マイクロシステムズは2月23日,米Sun Microsystemsが1月に発表した同社UNIX「Solaris」のオープンソース化の経緯を明らかにした。

 「(2000年1月に)Solaris 8をリリースしたころからSolarisのオープンソース化は議論されていた。具体的に動き出したのはここ1年ほどのこと」(サン・マイクロシステムズ マーケティング本部 本部長の纐纈昌嗣氏)だという。オープンソース化に先だってライセンス料を無料にしたSolaris 10のバイナリコードを,2月1日からWebサイトで無償公開している。2月19日までに54万件弱のダウンロードがあったという。

 2005年第2四半期にビルド可能な状態のものを公開し,コミュニティ・サイトOpenSolaris.orgで改良を進めていく。ただし,ソースコードを公開するのはSolaris 10から他社の知的所有権に抵触する個所を取り除いた部分(「OpenSolaris」と呼ぶ)。OpenSolaris.orgはすでに開設されており,コミュニティに関する情報やSolaris 10の目玉機能であるプロファイリング機能「DTrace」のソースコードを公開している。DTraceの公開が先行しているのは,DTraceがSunの自社開発で他社の知的所有権を侵すおそれがないため。他社開発のドライバ・ソフトなど法律上開示できないものはオープンソースにした後も,従来通りバイナリ形式のみで提供する。

 OpenSolarisのライセンスはCDDL(Common Development and Distribution License)と呼ぶ独自のもの。オープンソースのブラウザMozillaが採用しているMozilla Public Licenseをベースとし,Open Source Initiative(OSI)の認定を受けている。同じオープンソースのOSであるLinuxが採用している「GNU GPL(GNU General Public License)」を採用しなかったのは,企業ユーザーの利便性などを考慮したためだという。GPLは改変部分のソースコードをすべて開示しなければならず,企業ユーザーにとっては使いづらい面がある。CDDLは改変部分のソースコードを開示しなくても構わない。

 ただし,CDDLに基づいてコードを提供する際には,そこに含まれる特許の利用に関する許諾も与えなければならないとしている。「OpenSolarisを使い始めたユーザーが,後で『特許を侵害した』と訴えられたりすることがないようにした」(纐纈氏)。Sun自身もCDDLに基づいて公開するSolarisの関連特許1600件以上を無償提供すると発表している。

 OpenSolaris.orgの運営は,当面はSunが中核となって進める。Sunの開発プロセスに基づいて作ったSolarisのソースコードをOpenSolarisに提供していく形になるという。ただし,すでに動き出しているパイロット・プロジェクトにも社外の開発者が参加しているという。コミュニティの活動が軌道に乗った後は,追加機能やバグ修正などをオープンなプロセスで進め,直接OpenSolarisのコードに反映させる形態に移行する。移行後は,SolarisはOpenSolarisのディストリビューションの一つという位置付けになる。SunはOpenSolarisのコードを独自に検証し,従来版との互換性,品質,セキュリティを保ったバイナリ・パッケージを提供していく。

(日経ソフトウエア)