2004年2月25~27日に開催されたBorland Conference Tokyoに合わせて,米Borland SoftwareのVice President兼Developer Tools Business UnitのGeneral ManagerであるGeorge Paolini氏(写真)が来日,日経ソフトウエア誌記者との会見に応じた。George Paolini氏は,2004年1月に米Borlandに参画,BorlandのJavaに関するビジネスすべてを統括する。会見の要旨は以下の通り。

――昨日の発表で,UML(Unified Modeling Language)ツールとJavaの統合開発環境(IDE)を統合した「Borland JBuilder X Developer Together Edition Bundle」の価格を9万8000円と,従来の6分の1にしたと聞いて驚いた。この低価格化戦略にどんな意図があるのか,どのような経緯でそうなったのかを教えてほしい。

 日本の顧客からのこれまでの反応や,アンケートの結果から,Javaの開発者が,UMLによるモデリング機能そのものと,IDEとの統合を望んでいることがわかった。IDEとの統合は,米TogetherSoftを2003年1月に買収したあたりから計画していた。

 2004年に入って,日本のボーランドから価格を下げる提案を受け,十分に議論を重ねて,この価格とすることを決めた。この価格なら,出荷数も増えるだろうし,顧客も満足してくれるだろう。日本での市場の反応を見て,米国やほかの国での展開も考えたい。

――日本では,JavaのIDEとしてEclipseが現在とても人気がある。乱立気味だったJavaのIDEも,現在ではEclipse,WebSphere Studio, Application Developer(WSAD)とRational製品を組み合わせるIBM陣営と,BorlandのJBuilderが頭一つ抜け出したように見える。ライバルをどのように認識しているか,脅威を感じているか。

 Eclipseは,プラグインを組み合わせてIDEの環境を自ら構築していかなければならない。それゆえ,2人,4人,6人といった少人数による開発ではうまく機能するかもしれないが,大企業で,大人数で開発する場合は,プラグインの組み合わせ,それぞれのバージョンなど,フレームワークのメンテナンスにかかるコストが大きくなる。一方JBuilderは,IDE全体で,そのまま使える,整合性の取れた組み合わせを提供できる。米Borland Softwareの顧客には,Eclipseを維持するTCO(Total Cost of Ownership)に耐えかねて,JBuilderに戻ったユーザーがいる。

 だから,Eclipseは脅威と感じていない。JBuilderのライバルと感じているのは,むしろWSADだ。でもIBMは,旧Rational製品とWSADの統合を進めるといっておきながら,まだ製品がない。我々はすでにTogetherと完全に統合された製品を手にしている。

――昨日,無償利用が可能なJavaのIDE「JBuilder X Foundation」を2004年4月下旬にリリースすると発表した。従来の無償版は商用開発が許されていなかったが,今回の新版から商用開発が可能になる。この変更の理由は,Eclipseに対抗する意図があるものか?

 イエス。Eclipseに対抗するためのものだ。これならEclipseよりJBuilderの方が価値があると考える開発者も多いだろう。

――ところで,今でもコードを書いてプログラミングすることがあるか?

 昔はちょっとやっていたけど,今はない。コンピュータでプログラム・コードをプログラミングするより,MIDIで音楽をプログラミングする方が好きだ。好きな音楽のジャンルはジャズ。たまにロックもやるけどね。

――ほかに趣味は

 写真を撮る。風景も撮るけど,花などをクローズアップで撮るのが楽しい。レンズが高くてね,お金がかかる趣味なんだけど。

(日経ソフトウエア)