マイクロソフトは2月24日,無償で利用できるWebアプリケーション開発ツール「Microsoft ASP.NET Web Matrix version 0.6」(以下,Web Matrix)の日本語版を公開した。同社のWebサイト(http://www.microsoft.com/japan/msdn/asp.net/)からダウンロードできる。

 Web Matrixは,.NET環境で動作するWebアプリケーション/Webサービスを開発するためのビジュアル開発ツール。開発言語として,Visual Basic .NET,C#,J#が利用できる。もともとは米Microsoftの一部の開発者がC#を使って作成した試作ソフトであり,以前から英語版がTechnology Previewという名目で無償公開されている。

 .NETの本家本元が提供する無償開発ツールということで,国内でも .NET開発者の注目を集めていたが,英語版のWeb Matrixでは日本語を正しく扱うことができなかった。例えば,MSゴシックなどの日本語フォントを使うと表示はできるものの,カーソル(キャレット)の位置がずれたり,文字が途中で切れて表示されるなどの不具合があった。今回公開された日本語版では,こうした日本語表示の問題が解消された。

 Web Matrixは,Visual Studio .NET(VS .NET)に似たGUIを備えており,VS .NETを知る開発者は直感的に操作できる。またVS .NETを使う場合,ASP .NETアプリケーションの開発にはMicrosoftのWebサーバーInternet Information Services(IIS)が必須なのだが,Web Matrixが持つWebサーバー機能を使うと,IISがない環境(例えばWindows XP Home Editionなど)でもASP .NET開発ができる。IISの導入や面倒な設定が要らないので,非常に手軽にASP .NET開発が体験できる点がWeb Matrixの魅力だ。VS .NETと比較すると,IntelliSense(コード入力支援機能)やデバッガを備えていないなど,機能的に見劣りする部分も多い。しかし,高価なVS .NET(推定小売価格は約13万円から)を購入する前に,ASP .NETを試してみようと思う開発者にうってつけのツールである。開発したアプリケーションは実運用に利用できる。ただし,サポートは提供しない。

 なお,Web Matrixのほかにも,無償で利用できる .NETアプリケーション開発ツールはいくつかある。例えば,.NETのオープンソース・プロジェクトic#codeが開発する「SharpDevelop(または#Develop)」では,VB .NETまたはC#を使ったWindowsフォーム・アプリケーションを開発できる。これはVS .NETがサポートしていないWindows 98やMeで開発できるのが特徴だ。

 また,ボーランドが販売する「Borland C#Builder for the Microsoft .NET Framework」にも無償で利用できるエディション「C#Builder 1.0 Personal」がある。こちらは,使える言語がC#に限られるものの,Windowsフォーム・アプリケーションとASP .NETアプリケーションの両方の開発が可能だ。

(日経ソフトウエア)