メディア情報開発は,業務システムなどのWebアプリケーション開発向けに,データ入力やキー操作がしやすいリッチなクライアント・アプリケーションをコーディング・レスで生成できるJava開発ツール「Visual Frame 1.0.3」を7月下旬に出荷する。クライアントに置かれた画面の定義から動的にJavaアプリケーションを生成する独自の技術により,レスポンスのいいクライアントを開発できるのが特徴。価格は開発環境が140万円から,実行環境のランタイム・ライセンスは8000円から。

 Visual Frameは,操作性の良いリッチなクライアントのJavaアプレット/アプリケーションを作成するJava開発ツール。以下のような三つの大きな特色がある。

  1. 開発が容易:画面設計を中心にした開発手順になっており,SwingなどのGUIコンポーネントとロジック部品(条件分岐やビジネス・ルールなど)を組み合わせてパラメータを設定するだけで,ほとんどコーディング・レスでアプリケーションを作成できる。入力チェックやデータ変換などよく使われる部品やロジックは標準で用意している。ただし,足りない機能は市販のコンポーネントを導入するか,独自にJavaで開発する必要がある。
  2. アプリケーションのレスポンスが良い:開発した部品の組み合わせ情報は,定義ファイルとしてクライアントのデータベース(XMLリポジトリと呼ぶ)に保管される。アプリケーションは,XMLリポジトリの定義ファイルに基づいて動的にクライアントで生成,実行される。通常のJavaアプレットのようにサーバーからダウンロードされる時間がないので,そのぶん起動が速くなる。サーバーとやり取りされるのは入力/出力されるデータ(XML形式)だけ。アプリケーションが変更された場合は,JDK 1.3のJWS(Java Web Start)という機能により,差分情報がXMLリポジトリに自動的に格納される。
  3. サーバー側のアプリケーションの種類に依存しない:J2EE(Java2 Platform, Enterprise Edition),サーブレット,CGI(Common Gateway Interface),ASP(Active Server Pages)など,XMLデータの送受信ができるものであれば種類を問わない。
 クライアント/サーバー型で作られた業務システムなどをWebシステム化する場合,問題になりがちのなのがクライアントの使い勝手である。Visual Basicなどで作られたリッチなWindowsアプリケーションと比較すると,HTMLとJavaScriptなどで作られたWebブラウザのデータ入力画面はどうしても使い勝手が劣る。とはいえ,Javaアプレットで実装すると,起動に時間がかかるなどの理由で嫌われる。最近では,動的なWebコンテンツを作成する米MacromediaのFlashを使ってWebクライアントを開発する事例が増えているが,「Flashは開発者が少ないのが問題」(メディア情報開発の山田隆信CEO)と言う。

(日経ソフトウエア)