ソフトウエア開発における上流(分析/設計)工程のモデリング技術者の育成と,モデル情報の共有を狙って5月19日,特定非営利活動法人「UMLモデリング推進協議会UMTP/Japan(consortium for UML based Modeling Promotion)」が発足した。東京国際大学教授でビジネスオブジェクト推進協議会(CBOP)の理事である堀内 一氏,オージス総研の上野南海雄専務,日本IBMの堀田一芙常務の3人を発起人幹事として,ITベンダーやユーザー企業など21の発起人企業で構成。オブザーバーとして経済産業省も参加する。同日会員募集を開始し,「1年以内には100社の会員を集めたい」(堀内氏)という。

 UMTP/Japanは,モデリング言語UML(Unified Modeling Language)をベースに,モデリング技術の普及を狙った団体。国内だけでなく,中国,韓国,インドといったアジア諸国と連携し,(1)UMLなどを前提にしたモデリング技術の体系化と普及,(2)モデリング技能の認定と教材などコンテンツの認定,(3)業種/業務ごとのベスト・プラクティス・モデル(業界標準となる業務モデル)の策定と共有化支援,(4)国際連携(UMTP Asiaの運営),の四つの活動を行う。

 このうち活動の中心となるのは(2)と(3)。モデリング技能を認定する「モデリング技能認定試験」を2003年11月から実施(受験費用は無料)し,モデリング技術者(モデラー)を育成する。また,業界企業,業界団体,スペシャリストなどと幅広く連携し,ベスト・プラクティスとなるような共通モデルの登録や利用促進,方法論の策定などを行っていく。

 UMLを利用する技術者資格としては,ユーエムエル教育研究所(UTI:UML Technology Institute)とオブジェクト技術標準化団体の米OMG(Object Management Group)が4月に発表した「OMG認定UML技術者資格試験プログラム」(関連記事はこちら)があるが,「UMTP/Japanのモデリング技能認定試験は,UMLの表記ではなく,より上位のモデリング技術を評価するもの」(堀内氏)とし,それぞれ住み分けていくという。

 試験の合格者が4000~5000円を払うと,モデリング技術者としての技能が認定される。現在,オージス総研が実施しているUML技術者認定制度の運営サイトをそのまま継承して,OGIS UML UniversityからUMTP Universityに改称する。既存のUML技術者認定資格者にも,技能認定資格への何らかの移行措置を設ける予定。

 また,資格を取得してもメリットが少ないといったことが起きないように,認定者のスキルやキャリアをバックアップする社内受け入れガイドラインを策定。会員企業に認定者を支援するよう指導するほか,「日本テスト学会」などの支援を受けて認定試験プログラムを作成するなど,公正性と厳密性を確保していくという。

(日経ソフトウエア)