英MicroFocusと並んで,COBOLコンパイラのベンダーとして著名な米AcucorpのPresident兼CEOのPamela Coker氏(写真)が来日,2003年4月10日に都内で記者会見した。Coker氏はこの場で,COBOLを取り巻く現状やその移行技術,同社の方向性などについて語った。

 Coker氏は,「COBOLで記述された価値の高い業務アプリケーションは,大企業のメインフレームやオフコンなどレガシーなシステム上でまだたくさん稼働している」としたうえで,同社は「これらを近代的な(modern)環境に移行するビジネスに注力していく」と述べた。同氏は,レガシー・アプリケーションの移行方法として,(1)すべてを捨てて再構築,(2)パッケージの適用,(3)既存資産の再利用――の三つを挙げ,「対象となるアプリケーションが備えるビジネス・ロジックに価値があるなら,既存資産を再利用するのが,開発コストが安く,開発期間が短くなる場合が多い」と言い切った。

 同社が米国で2003年5月に出荷を予定しているCOBOL統合開発環境「extend6」は,こうした用途を狙ったものだ(日本語版は同年10月に出荷予定)。J2EE(Java 2 Platform,Enterprise Edition)や .NET環境などから利用できるコンポーネント技術,XML(Extensible Markup Language)の読み書き機能などを備える。「COBOLで実装した機能をコンポーネント化して利用することで,J2EEや,.NETなどの近代的な環境から利用できるようになる。COBOLアプリケーションを他の言語,技術,アプリケーションと容易に統合できるので,高い費用対効果で長年投資してきた資産を保つことができる」(Coker氏)。

 COBOL言語の将来に関してはCoker氏は,「15年前に私がこの仕事を始めたとき,COBOLはすでに死にゆく言語だと聞いたが,現実にはCOBOLはまだ死んでいない。その間にも,4GL(第四世代言語)などいくつものプログラミング言語が登場しては消えていった」と指摘。そして,「COBOLは学校では歴史に埋もれた過去の言語として教えられがちだが,それは違う。そもそもCOBOLは登場以来,ビジネスの手順を簡潔に表すのに適している。COBOLはJavaが登場する何年も前から,Write Once Run Anywhereという概念を持ち,それを実現してきた。こうしたCOBOL本来の優位さに加えて,昨今のCOBOLは情報技術の近代的な要求を受け入れてきた。現在,緑色のCUIではなく,GUIを利用できるし,イベント・ドリブン・プログラミングもできる。Visual Basicと何ら変わりない。さらに .NET,J2EE,XML,Webサービスといったモダンな技術も利用できるようになる。COBOLは時代に合わせて変わっていく」と述べ,「米国では新規案件でCOBOLを採用するケースもある」と締めくくった。

(日経ソフトウエア)