キヤノン販売は3月4日,キヤノン製レーザー・プリンタを利用するカスタム・ソフトの開発を支援する開発キット3種類を発表した。印刷ジョブ管理用の「imageWare Job Tracking SDK 2003」と,LIPS IVと呼ぶページ記述言語を備えたレーザー・プリンタ用プリンタ・ドライバを制御するための「LIPS IV Printer Driver SDK Ver2.0」,そしてGAROと呼ぶ制御言語を備えた大判インクジェット・プリンタ用のプリンタ・ドライバを制御するための「GARO Printer Driver SDK Ver2.0」で,出荷開始はJob Tracking SDKが3月下旬,Printer Driver SDKが4月上旬である。

 Job Tracking SDKを使うと,印刷ジョブの進ちょく状況を,印刷が完了するまで監視できる。例えば複数ページを印刷するジョブなら,現在何枚目まで印刷したかを逐次把握したり,印刷ジョブが完了したかどうかをアプリケーション・ソフトで確認できる。LIPS IVを備えたレーザー・プリンタ,大判およびビジネス向けインクジェット・プリンタが対象で,いずれもネットワーク接続した場合にのみ有効である(ローカル接続のプリンタのジョブ情報は取得できない)。価格は24万円で,2カ月間の開発サポートが付属する。このSDKを利用したソフトの再配布には,別途4000円/本のライセンスが必要である。

 LIPS IV Printer Driver SDKおよびGARO Printer Driver SDKを使うと,通常プリンタ・ドライバの設定画面を使ってユーザーが設定する各種オプションを,プログラムから設定できるようになる。既存のVer1.0ではC言語の関数ベースで提供していたが,Ver2.0ではCOMオブジェクトも提供し,より容易にVisual Basicプログラムから利用できるようにした。印刷用紙サイズや割付印刷などのレイアウト,スタンプ,給紙方法,両面印刷や製本印刷,ステープル(ホチキス)の位置,印刷品質などを指定できる。例えば,1枚目は給紙トレイのA4用紙に請求書を印刷し,2枚目は手差しトレイの封筒に宛名印刷するようなアプリケーション・ソフトを作れる。価格は,COMオブジェクトで提供されるバージョンが24万円(2カ月間の開発サポート付き),C言語の関数ベースのものは無償で,いずれも再配布ライセンスは不要である。

 これらのSDKと,プリンタのデバイス状況を監視するすでに出荷済みのimageWare Status Monitor SDKと組み合わせると,用紙がなくなったり紙詰まりしたときにもユーザーにメッセージを出すなど印刷開始から完了までを完全に監視する印刷システムを作ることが可能になる。キヤノン販売では,キヤノン製のハードウエアやアプリケーション・ソフトウエアを利用する業務用ソフトの開発を支援するSDKの販売に,今後力を入れるとしている。

(日経ソフトウエア)