米IBM米Rational Softwareは12月6日,IBMがRationalを21億ドルで買収することで合意したと発表した。Rationalの事業と社員はIBMのソフトウエア・グループの新しい部門に組み込む。Rationalは,WebSphere,Lotus,Tivoli,DB2に次ぐIBMの5番目のブランドとなる。

 Rationalは,UML(Unified Modeling Language)モデリング・ツールRational Roseや品質管理ツールRational Suiteなどで知られる,ソフトウエア開発の設計/テスト分野に強いベンダー。UNIXからWindows,Java技術から .NET技術まで,特定のプラットフォームや技術に依存しない製品を提供している。UMLの設計者であるGrady Booch,James Rumbaugh,Ivar Jacobsonの3人のメソドロジストが在籍し,RUP(Rational Unified Process)などの開発方法論を提唱するなど,ソフトウエア開発業界に強い影響力を持つ。

 一方IBMは,WebSphereブランドに代表されるJava技術系のアプリケーション・サーバーや開発ツールがあるものの,ソフトウエア設計分野における影響力はあまり大きくなかった。今回の買収で,設計~開発~テストまでのツールをトータルにカバーし,加えてそれらを開発方法論で支援することが可能になる。

 この合併により,Rationalの日本法人である日本ラショナルソフトウェア日本IBMの傘下に入る。日本サイドの組織の変更や時期は未定。日本ラショナルとしても今回の買収はメリットと考えているようで,同社マーケティング・グループの渡辺 隆マネージャーは「IBMグループに入ることで,IBMの顧客にコンタクトしやすくなりマーケットが広がる」と語っている。

(日経ソフトウエア)