Delphi 7の特徴は,(1)米Microsoftの .NET構想に“対応”した,(2)他社のツールを積極的にバンドルして機能を増やした,である。ただ,.NET対応の具体的な機能は非常に限られたものだ。
・DelphiのWin32コンパイラが.NETとの互換性アドバイス・メッセージを出力するようになった
・.NETのアセンブリをCOMオブジェクトとしてインポートする機能,COMオブジェクトを .NETアプリケーションとしてエクスポートする機能を付けた
・Object Pascal(Delphi Languageと呼んでいる)プログラムから .NET向けの中間言語を生成するMSIL(Microsoft Intermediate Language)コンパイラと,それを利用するためのドキュメントを付けた。ただし,これらは「プレリリース・プレビュー」という扱いである
そんなわけで,Visual Basic .NETやVisual C# .NETのように,.NETクラスライブラリのコンポーネントをフォームに貼り付ける形でプログラムを作ることはできない。すなわち,.NET用のIDE(統合開発環境)はなく,コマンドライン・コンパイラが付いただけである。今から研究を始めたいという人には朗報だが,今.NETアプリケーションをDelphiで作りたいという人にはがっかりではないだろうか。
他社製ソフトのバンドルはProfessional以上にあてはまる。Professionalには米Nevrona Designsのレポーティング・ツール「Rave Reports Borland Edition」が付く。EnterpriseにはさらにオランダModelMaker ToolsのUMLをベースとしたCASEツール「ModelMaker」,豪AToZed SoftwareのWebアプリケーション開発ツール「IntraWeb」が付き,ArchitectにはスウェーデンBoldSoftのモデルをベースとした開発支援ツール「Bold for Delphi」が付く。
日本法人のボーランドは8月8日に報道機関向け説明会を開催する予定だ。それを受けて,追加情報を掲載するつもりである。
(日経ソフトウエア)