米Borland Softwareは8月6日,Windows用開発ツールDelphiの新バージョン,Delphi 7を発表した。Delphi 6のエディションはPersonal(無償ダウンロード提供,パッケージ版は99ドル),Professional(999ドル),Enterprise(2999ドル)の三つだったが,Delphi 7はそれにArchitect(3499ドル)が加わって四つになる。Personal,Professional,Enterpriseの価格に変更はない。出荷開始は「2002年夏」ということである。なお,Personalを除く三つは今回から「Delphi 7 Studio Professional」などと呼ぶことになった。

 Delphi 7の特徴は,(1)米Microsoftの .NET構想に“対応”した,(2)他社のツールを積極的にバンドルして機能を増やした,である。ただ,.NET対応の具体的な機能は非常に限られたものだ。

 ・DelphiのWin32コンパイラが.NETとの互換性アドバイス・メッセージを出力するようになった
 ・.NETのアセンブリをCOMオブジェクトとしてインポートする機能,COMオブジェクトを .NETアプリケーションとしてエクスポートする機能を付けた
 ・Object Pascal(Delphi Languageと呼んでいる)プログラムから .NET向けの中間言語を生成するMSIL(Microsoft Intermediate Language)コンパイラと,それを利用するためのドキュメントを付けた。ただし,これらは「プレリリース・プレビュー」という扱いである

 そんなわけで,Visual Basic .NETやVisual C# .NETのように,.NETクラスライブラリのコンポーネントをフォームに貼り付ける形でプログラムを作ることはできない。すなわち,.NET用のIDE(統合開発環境)はなく,コマンドライン・コンパイラが付いただけである。今から研究を始めたいという人には朗報だが,今.NETアプリケーションをDelphiで作りたいという人にはがっかりではないだろうか。

 他社製ソフトのバンドルはProfessional以上にあてはまる。Professionalには米Nevrona Designsのレポーティング・ツール「Rave Reports Borland Edition」が付く。EnterpriseにはさらにオランダModelMaker ToolsのUMLをベースとしたCASEツール「ModelMaker」,豪AToZed SoftwareのWebアプリケーション開発ツール「IntraWeb」が付き,ArchitectにはスウェーデンBoldSoftのモデルをベースとした開発支援ツール「Bold for Delphi」が付く。

 日本法人のボーランドは8月8日に報道機関向け説明会を開催する予定だ。それを受けて,追加情報を掲載するつもりである。

(日経ソフトウエア)