米Borland Softwareは7月23日,Linux用ビジュアル開発ツールKylixの新バージョン,Kylix 3を発表した。最大の特徴は,C++コンパイラを追加したこと。従来のKylixではコードの記述にObject Pascal言語(同社はDelphi Languageという呼称を今回から使い始めた)を使う必要があったが,Kylix 3ではObject PascalとC++の両方を使える。C++を使ったプロジェクトは,Windows用ビジュアル開発ツールC++Builder 6のCLX(Component Library for Cross-Platform)プロジェクトと互換性がある。WindowsとLinuxの両方で動くソフトを,C++で一気に書くことができるというわけだ。

 C++が使える以外の変更点は,(1)Professional版でWebサービスのクライアントを作れるようにした,(2)DelphiやC++Builderにあった「オブジェクトツリー」表示機能を付けた,(3)Object PascalやC++のコード中にアセンブリ言語を記述できる「インライン・アセンブラ」でPentium 4の機能を使えるようにした,など。価格はProfessional版が249ドル,Enterprise版が1999ドルで,Kylix 2と同じ。ほかに無償のOpen Editionを提供する。米国での出荷時期は8月。日本版については8月下旬に発表し,9月ごろ出荷の見込み。

 Linux用のC++Builderの開発が進められていることは明らかになっていた。しかし,単体の製品でなく,Kylixに統合する形で提供するとは驚きだ。加えて,C++Builderは無償提供を行っていないが,Kylixで無償提供を行うのも面白い。Linuxの開発ツールとして,やはりKylixは目が離せない。

(日経ソフトウエア)