サイベースは7月2日,ノート型パソコンやPDA(携帯情報端末)などで動作するモバイル向けリレーショナル・データベース管理ソフト(RDBMS)の新版「SQL Anywhere Studio 8日本語版」の出荷を開始した。それにともない開発元の米iAnywhere Solutionsの開発・営業推進担当であるSteven McDowellシニア・マネジャ(写真左)とChuck Lownieディレクター(写真右)が来日し,本誌のインタビューに応じた。会見の要旨は以下の通り。

──モバイル向けのRDBMSとして多くの製品が登場しているが,SQL Anywhere Studio(以後SQL Anywhere)のシェアはどうなのか?

 調査会社の米Gartner Dataquestによると,2000年の世界のモバイル・データベース市場においてSQL Anywhere Studioが68%のシェアを持っているという調査結果が出ている。2位はOracle Liteで12%だ。現在も,SQL Anywhereの高いシェアはほぼ変わっていないと考えている。その根拠の一つは,2000年以降の景気低迷にもかかわらず,SQL Anywhereを使った製品を提供するビジネス・パートナが1社も減ることなく,増え続けてきたことだ。現在では1000社以上のパートナがいる。

──SQL Anywhereには2種類のデータベース・エンジン(ワークグループ向けのAdaptive Server Anywhereと組み込み向けのUltra Lite)があるが,使われているのはどちらか?

 ほとんどの顧客がAdaptive Server Anywhere(以後ASA)を使っている。特に,Windowsベースのノート型パソコンにASAをインストールして,営業支援システム(SFA:Sales Force Automation)などで利用するケースが多い。Ultra Liteはメモリー容量に制約のあるPDA(Palm OS搭載機など)で動作する小型データベースだが,その利用率はASAに比べるとずっと小さい。

──ASAが支持されている理由は何だと思うか?

 何と言っても,競合製品に比べてASAが機能的に優れていることだ。ストアド・プロシジャやトランザクション機能などRDBMSとして必要な機能をフルに装備しながら,Windows CEや9x系などのクライアントOSで動作する。加えて,企業システムで利用されているOracle,DB2,SQL Serverといった様々なRDBMSとデータの同期をとることができる。こうしたデータベースはほかにない。

──新版(バージョン8)の最大の強化点は何か?

 新版では,パフォーマンス,セキュリティ,データの同期,開発ツールの4点を主に改善した。最大の強化点は,パフォーマンスだ。クエリー(データの問い合わせ)の最適化機能と実行エンジンの改良により,複雑なクエリー処理の実行速度が6倍,場合によってはそれ以上速くなった。新しいインデックス・タイプとファイル・スキャン機能を加えたことで,データの検索速度も向上した。

──旧バージョンとのデータベースの互換性はあるのか?

 我々はデータベースの互換性を非常に重視しており,その点に問題はない。例えば,新版のASAでは,バージョン4のデータベースをそのまま利用することができる。しかも,新版に付属するUpdateユーティリティなどを使ってデータベースを再構築すれば,改善したパフォーマンスや新機能の恩恵を受けることもできるのだ。  実はバージョン4のASAは,買収したカナダWatcom InternationalのWatcom.SQLがベースになっているのだが,Watcom.SQLが備えていた関数なども現在のASAはサポートしている。

(日経ソフトウエア)