マイクロソフトは6月12日,ソーテック東芝NEC日本ヒューレット・パッカード富士通の5社が,「Windows XP Tablet PC Edition」を搭載した「タブレットPC」を日本国内で今秋以降に販売すると発表した。Windows XP Tablet PC EditionはWindows XP Professionalに,液晶画面一体のタブレットとペンを使って操作するためのソフト(手書き文字認識,音声認識,ノート取りソフトの「MSジャーナル ユーティリティ」など)を追加したもの。それを搭載したタブレットPCは「会議のメモ取り,商談といった新しいユーザー・シナリオで十分使える」(同社)という。発表会ではソーテックとNECが開発中のハードウエアを披露したが,ノート・パソコンのディスプレイを180度回転させて折りたたむとキーボードが隠れる「コンバーチブル形状」は目新しいものであった。米国では6月25日~27日に開催される「TECHXNY」で発表し,日本と同様に秋から製品出荷が始まる予定だ。

 タブレットPCではWindows XP用のすべてのプログラムが動作する。ただし,タブレットPCの機能を十分に生かそうと思ったら,タブレットPC用のWindows APIを利用して,ソフトに改良を加える必要がある。マイクロソフトは6月13日にソフトハウス約150社の開発者約250人を招待して説明会を行い,開発キットと評価用ハードウエアを提供するという。現状でタブレットPC用のソフト開発ができるのはこの説明会に招待された会社に限られるが,「フリーソフト,シェアウエアの開発者にもソフトを作って欲しい。米MicrosoftのWebサイトではタブレットPCのSDKのベータ・プログラムに申し込むことができる」(同社)。

 実際の商品が登場していない現段階でコメントするのは時期尚早かもしれないが,タブレットPCがノート・パソコンなみに普及するかは疑問である。大きな理由は(1)タブレットPCはノート・パソコンより高価になる,(2)ハードウエア・ベンダーのすべてがタブレットPCの製造に荷担するとは限らない,の二つだ。タブレットPCはノート・パソコンのハードウエアに,最低でもタブレットを追加したものでなければならない。Windows XP Tablet PC EditionはWindows XP Professionalの上位に位置付けられており,Home Edition搭載のパソコンに比べてその分割高になることも予想される。

 ハードウエア・ベンダーでは,米国においてIBM,Dell Computerといった大手が参画していない。日本でも,ノート・パソコンで人気があるソニー,松下電器産業,シャープ,Windows CE機でマイクロソフトの誘いに乗った日立製作所,タブレットPCの前身であるWindows for Pen Computing搭載機で努力してきた三菱電機が,今回の発表に名前を連ねない。

(日経ソフトウエア)