同社がDelphi 6の目玉としているのは,三つの「フレームワーク」である。SOAP(Simple Object Access Protocol)とXML(Extensible Markup Language)をベースにWebサービスを作る「BizSnap」,Webアプリケーションを作る「WebSnap」,データベース接続をするための「DataSnap」だ。米MicrosoftはVisual Studioの次期バージョン「Visual Studio.NET」でWebサービスの作成機能を打ち出したが,出荷はDelphi 6の方が先になる。Borlandは「Webサービス作成を支援する初のRAD(Rapid Application Development)ツール」と銘打ち,対抗心をあらわにした格好だ。三つのフレームワークがどんなものなのかは発表資料だけではうかがいしれないが,Microsoftのツールよりもサポート対象が広いことは確かなようだ。Webサービスの基盤はMicrosoftの.NETやBizTalkのほか,米Sun MicrosystemsのONE(Open Net Environment)でもよい。WebSnapが連携できるWebサーバー・ソフトは,Apache,IIS,Netscapeである。DataSnapが接続できるデータベース管理システムはDB2,Informix,InterBase,Oracle,SQL Server,Sybaseといった具合である。
Delphi 6では,Linuxプラットフォームのビジュアル開発ツール「Kylix」と互換性のある「CLX(Component Library for Cross-Platform)プロジェクト」を作成することもできる。新規プロジェクトの作成時に従来のVCL(Visual Component Library)を使うか,CLXを使うかを選択できるのである。CLXプロジェクトなら,プロジェクト・ファイルをKylixと共有して開発を進めることができる。Windows向け(Delphi向け),Linux向け(Kylix向け)のコードを混在させて,条件コンパイルさせることも可能だ。
ほかの新機能は,(1)SIDL(Simple Interface Definition Language)を使って同社のWebアプリケーション・サーバー製品「AppServer」にあるEJB(Enterprise JavaBeans)に接続できるようになった,(2)VisiBrokerのサーバー・オブジェクトを作れるようになった,(3)Windows 2000/MeやOffice 2000タイプの,新しいユーザー・インタフェース部品(ActionBands,ActionManagers,Shell)を追加した,など。詳細は,日本語版を入手した時点でお知らせしたい。