Office XPのオブジェクト・モデルは,Office 97/2000に若干の追加などがあるものの大きな変更はない。WordやExcelのファイル形式も,Office 97/2000と同じだ。Accessについてのみ,パフォーマンスを向上させたAccess 2002形式と呼ぶ新ファイル・フォーマットがあるが,デフォルトでは従来のAccess 2000形式を選択するようになっている。
一方,注目のユーザー支援機能であるスマートタグは,アプリケーション操作中のユーザーが次に何をしたいかをOffice XPが先取りし,使う可能性のある機能のリスト(スマートタグ)を表示するもの。例えば,顧客番号と受注データを入力するExcel/VBAのアプリケーションを考えよう。これまではユーザーが,受注データの入力画面を呼び出したり,顧客情報を参照するためのウィンドウを呼び出すなどの「アプリケーションの操作手順」を知っておく必要があった。しかしスマートタグを使えば,顧客番号を入力したときに,「(1)受注データを入力する,(2)顧客情報を参照する」といった,次にすべき操作のリストがポップアップメニューで表示される。ユーザーは「どんな機能があるのか」「どのメニューをたどればその機能が使えるのか」といったことを,覚えておく必要がない。
スマートタグの実体は,COM(Component Object Model)コンポーネントあるいはXML(Extensible Markup Language)ファイルである。標準で備えるスマートタグ以外に,「スマートタグSDK(開発キット)」(米Microsoftが無償配布しているものの日本語版)を使えば,独自にスマートタグを開発することもできる(スマートタグSDKはDeveloper版のみ付属)。アプリケーション開発者にとって,Office XPへ移行すべきかどうかは,「スマートタグをどこまで活用するか」にかかっているかもしれない。
このほかOffice XPのボリューム・ライセンス版には,Office XPを企業内で管理/展開するツール群「Office XPリソースキット」が, Developer版には,リソースキットに加えて,ワークフロー作成を支援するツールやVBAソースコード再利用ツールなどが付属する。グループ単位で掲示板や予定表,ドキュメントなどを共有できる簡易Webサイト構築キット「SharePoint Team Services」も新たに装備する。
Office XPの製品ラインナップは以下の通りである。
製品名/Edition名 | Professional Special Edition | Professional With FrontPage | Professional | Standard | Personal | Developer |
Word | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
Excel | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
Outlook | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
PowerPoint | ● | ● | ● | ● | なし | ● |
Access | ● | ● | ● | なし | なし | ● |
FrontPage | ● | ● | なし | なし | なし | ● |
Publisher | ● | なし | なし | なし | なし | なし |
Bookshelf Basic 3.0 | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
メディア・コンテンツ(クリップアート集など) | ● | ● | ● | ● | なし | ● |
IntelliMouse Optical | ● | なし | なし | なし | なし | なし |
開発ツール(スマートタグSDKなど) | なし | なし | なし | なし | なし | ● |
Step by Stepインタラクティブ(チュートリアル) | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
SharePoint Team Services(Webサイト構築キット) | ● | ● | なし | なし | なし | ● |
推定小売価格(オープン/アップグレード価格) | 4万1800円(アップグレードのみ) | ライセンス販売のみ | 6万9800円/3万7800円 | 5万7800円/2万8000円 | 4万4800円/2万1800円 | 9万4800円/4万9800円 |
(注)既存の単体製品からスイートへのアップグレードはできない。また,各単体製品のバージョンは2002となる。