米Borland Software(旧Inprise)は1月31日,Linux用ビジュアル開発ツール「Borland Kylix(カイリックス:以下Kylix)」を正式に発表した。標準版の「Desktop Developer」,Desktop DeveloperにWebアプリケーション開発機能などを追加した「Server Developer」,無償のオープンソース版である「Open Edition」の三つで構成される。出荷開始時期はDesktop DeveloperとServer Developerが2001年第1四半期,Open Editionが2001年半ばを予定している。


 Kylixは,Linux用のビジュアル・アプリケーション開発ツール。(1)同社の開発ツールDelphiと同様,プログラミング言語Object Pascalを使う,(2)コンポーネント・ライブラリ「CLX(クリックス)」が付属する,などが特徴である(関連記事はこちら)。今回の発表では,(1)サポートするLinuxディストリビューションがRed Hat,SuSE,Mandrakeである,(2)「DataCLX」と呼ぶデータベース管理システム(DBMS)接続用コンポーネントの対応DBMSがDB2,Oracle8i,InterBase,MySQLであることなどが初めて公表された。


 Server Developerは,Desktop Developerの機能に加えて,Apacheを使ったWebサーバー・アプリケーションの作成を支援するコンポーネントのNetCLXや,Oracle,DB2向けのネイティブ・ドライバなどを備える。もう一つのOpen Editionは,GPL(GNU Public License)にしたがってオープンソース化したもの。機能の詳細は明らかになっていないが,Desktop Developerの機能限定版になるとみられる。


 価格は,Desktop Developerが999ドル,Server Developerが1999ドル。Open Editionは無料でダウンロードできるほか,99ドルを払ってCD-ROMと紙のドキュメンテーションを購入することも可能にする予定だ。


 これまで同社は,Kylixは開発コード名であり,正式な製品名は「Delphi for Linux」になると説明していた。しかし「Delphi for Linuxという名前の評判があまりよくなかった」(関係者)ことや,すでにKylixという名称が浸透しつつあることから,そのまま製品名にすることにしたという。Kylix日本語版については,日本法人のボーランド(旧インプライズ)は2月2日に開催する説明会でコメントするとしている。

(日経ソフトウエア)