日本アイ・ビー・エムは11月13日,同社のソフトウェア研究所内に「アジア・パシフィック・ハイ・ボリューム・ウェッブ・サイト・ソリューション・センター(Asia Pacific High Volume Web Sites Solution Center)を設立し,大規模Webサイト向けの各種支援サービスを開始した。

 同センターは要員数約50人のバーチャル(仮想的)な組織で,1999年秋に米国本社でスタートしたHigh Volume Web Sites(HVWS)のアジア版。大量アクセス/大量トラフィックが予想されるWebサイトの負荷を測定/分析し,Webシステムのチューニングや構築,コンサルティングなどを行う。具体的なサービスとして,(1)プロトタイピングとスケーラビリティ・テスティング(Webサイトの負荷テスト),(2)パフォーマンス・チューニングと分析(Webページの表示パフォーマンス分析),(3)キャパシティ・プランニング(Webサイトのシステム構成見積もりサービス),(4)ワークショップ(ユーザー向けセミナー)などがあり,単なる負荷テスト・ツールの提供ではなく,負荷測定/分析からその対応までを総合的なソリューションとして提供するのが目的だ。

 各サービスの詳細は次の通り。

サービス名 概要
プロトタイピングとスケーラビリティ・テスティング ユーザーのWebサイトに対して実際に負荷(単位時間当たりのヒット数)をかけて,Webサイトの限界処理能力をレポートする。ユーザーの施設内で測定するオン・サイト測定と,同センター内で測定するイン・ハウス測定の2種類がある
パフォーマンス・チューニングと分析 同社の分析ツール「WebSphere Studio Page Detailer」を使って,Webページがブラウザに表示されるまでのパフォーマンスを分析する。Webページが表示される時間を,HTMLファイルのダウンロード時間,画像ファイルのダウンロード時間などと細かく分析し,パフォーマンス面から見た最適なWebページ作成をアドバイスする
キャパシティ・プランニング ハードウエア/ソフトウエア構成から予想される限界性能をシミュレートしたり,逆に希望する性能に応じたシステム構成を提案する。新規にWebサイトの構築を考えているユーザー向け
ワークショップ Webサイト構築のためのテクニックや運営/管理方法などを解説する約2.5日間のワークショップ。同社の事例を基に,具体的なシステム構成やチューニング方法を紹介する

いずれのサービスも,同社のマシンやOSなどを使うことが前提だが,SolarisやWindows NTなど他社環境における負荷検証にも対応するという。

 このほか同センターでは2001年前半をメドに,定期的にWebサイトの負荷状況をモニタリングするサービスや,サイト設計のためのレビューなども実施する予定。当面は日本向けだが,2001年以降はアジア太平洋地域の各国へサービスを拡大する予定だ。

 Webサイトの負荷を測定するニーズは,ここ1,2年,大規模Webサイトを運営する企業を中心に強くなっている。これにしたがい,Webサイト負荷測定ツール市場でも,マーキュリー・インタラクティブ・ジャパンのLoadRunnnerや,日本ラショナルソフトウエアのRational PerformanceStudioなどが先行し,最近では,ニチメンデータシステムのWebLoadなど(関連記事はこちら),参入ベンダーが増えている。IBMが負荷診断サービスとして参入してくることで,この分野の競争はさらに激化すると思われる。

(日経ソフトウエア)

(IT Pro注:
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