日経パソコンは、アンケート調査を基に市区町村の情報化進展度を比較する「e都市ランキング 2005」をまとめた。ランキングの首位は、兵庫県西宮市。アクセシビリティに配慮したWebサイトで、豊富な情報やサービスを提供していることが高得点につながった。阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた同市は、独自の被災者支援システムを整備するなど、IT(情報技術)を利用する防災対策にも積極的だ。

 2位は岩手県水沢市、3位は長野県茅野市だった。町の最上位は、全体で32位の北海道長沼町。村の最上位は、全体で177位の長野県原村となった。

 今回の調査で、電子申請への対応など、住民サービスにITを活用する自治体が増えている一方で、多くの自治体のセキュリティ対策に問題があることが明らかになった。
 「公共施設の予約」「図書館の蔵書貸し出し予約」などの電子申請サービスを提供している自治体は25.6%。今後も、2005年度末までに8.9%、2006年度以降に21.6%がサービスを始める予定だ。

 セキュリティ対策では、「パソコン廃棄時のデータ消去」(64.4%)、「私物パソコンの持ち込みを禁止」(50.2%)、「データ持ち出しの規定を制定」(44.5%)など、個人情報の漏えい防止に必要な取り組みの実施率が低い。セキュリティ対策の徹底に有効な監査の実施率も、内部監査が18.0%、外部監査が10.0%にとどまっている。セキュリティに関する研修を実施している自治体は39.0%だった。

 「e都市ランキング 2005」の詳細は、日経パソコン2005年7月25日号に掲載。また、日経BP社のWebサイト「電子自治体ポータル」(http://itpro.nikkeibp.co.jp/govtech/)で、2091自治体の得点と順位を紹介している。

【調査の概要】

 調査の対象は2005年5月末時点の市町村と東京23区。自治体に対して、アンケートで5月末時点の状況を聞き、回答を寄せた2091自治体について、情報化への取り組みを得点化して、ランキングを算出した(回収率は87.2%)。得点は、「インターネットでの情報・サービスの提供」(40点)、「Webページのアクセシビリティの確保」(10点)、「庁内の情報インフラの整備、業務の情報化」(15点)、「情報化に関する政策の実施」(20点)、「セキュリティ対策の実行」(15点)の5分野について、100点満点で評価した。

(日経パソコン)