マイクロソフトは2003年3月19日,.NET Passportに登録したユーザーにメッセージを配信するサービス「.NET Alerts」を提供開始すると発表した。MSN MessengerやWindows Messengerのポップアップと電子メールでユーザーに情報を配信できるサービスで,既にジェイティービー(JTB)東京三菱銀行が同サービスを採用している。JTBは最新のツアー情報や特ダネ情報など(Webサイトはhttp://act.jtb.co.jp/alerts/),東京三菱銀行は法人向けに外国為替相場情報や投資信託基準価額など(Webサイトはhttp://alerts.btmportal.com/btmalerts/),の配信に利用する。

 マイクロソフトでは.NET Alertsを,「企業が配信する情報を,いつでも,どこでも,どのようなデバイスでも受け取ることを可能にするサービス」と位置付ける。あらかじめ配信を希望したユーザーにのみ通知する形をとり,ユーザーがパソコンにログオンしている時はMSN MessengerやWindows Messengerのポップアップ,ログオンしていなければ電子メールで通知する,といった設定が可能。パソコンにログオンしているかどうかの確認はMSN MessengerやWindows Messengerの仕組みを利用する。ユーザーが希望していた商品を入荷した,株価が上がった---といった緊急度や重要度の高い情報を配信する用途に向く。

 企業が.NET Alertsを使ってメッセージを配信したい場合は,米Microsoftが管理する.NET Alertsの配信サーバーと連携するためのサーバーを自社で用意する必要がある。.NET Alerts SDKを同社のWebサイトからダウンロードできるほか,「プレミアサポート サービス」や「プロフェッショナル サービス」による技術サポートを受けられる(いずれも有償)。

 .NET Alertsの月額費用は通知配信数やユーザー数などに応じて決まり,標準的なケースで1ユーザー当たり月額9円。これに加え,.NET Passportを使うための費用が年間138万円かかる(内訳は,サービス提供費用が120万円,サイト確認費用が18万円)。東京三菱銀行では,「自前で構築するよりも安い。システムも約3カ月で開発できた」(EC推進部門 IT事業部 開発グループ 次長 柏木英一氏)としている。

(榊原 康=日経システム構築)