統合業務パッケージ「R/3 Enterprise」などを提供するSAPジャパンが,新製品群「SAP NetWeaver」を発表した。SAP NetWeaverはミドルウエア群の総称で,EAI(Enterprise Application Integration)ツールやポータル構築ツール,Webアプリケーション・サーバーなど6つの製品を含む。価格は未定だが,2003年度中に全製品が出そろう予定である。
また,SAP NetWeaverと既存のパッケージ製品を基にした,新しい業務パッケージ・ソフトの構想を明らかにした。新パッケージ・ソフトの総称は「SAP xApps」で,2003年後半から出荷を開始する予定である。
提供が予定されているミドルウエア製品は,(1)モバイル環境からのアクセス・ソフト「SAP Mobile Infrastructure 2.1」,(2)ポータル環境を構築するソフト「SAP Enterprise Portal 6.0」,(3)データ分析ソフト「SAP Business Information Warehouse 3.1」,(4)データを一元管理するソフト「Master Data Management」,(5)EAIツール「SAP Exchange Infrastructure 2.0」,(6)J2EE(Java 2 Platform, Enterprise Edition)準拠のWebアプリケーション・サーバー「SAP Web Application Server 6.30」――の6製品。「Mobile Infrastructure 2.1」,「Exchange Infrastructure 2.1」,「Master Data Management」は新製品で,「Enterprise Portal 6.0」,「Business Information Warehouse 3.1」,「Web Application Server 6.30」は既存製品のバージョンアップ製品になる。
NetWeaverのミドルウエア製品は,同社のパッケージ製品を使わなくても利用可能で,単体での販売も行う予定である。もちろんR/3 Enterpriseなどとの接続性は高く,同社の既存の顧客にとっては有力な選択肢になる。しかし「SAPはミドルウエア・ベンダーではない」(SAPジャパン バイスプレジデント マーケティング本部長兼ソリューション本部長の玉木一郎氏)ため,ミドルウエア製品を単体で積極的に売ることはしない。実質的には,同社のパッケージを利用している企業や,同社のパッケージの導入を検討している企業向けの製品である。
むしろ同社にとってNetWeaverは,新しく提供する業務パッケージ「SAP xApps」のためのソフトという側面が強い。SAP xAppsは,同社の既存のパッケージ・ソフトのプログラムを部分的に抜き出し,NetWeaverのEAIツールやポータル・ソフトなどで統合した製品になるからだ。SAP xAppsがカバーする業務範囲は,同社がこれまで提供していなかった非定型の業務である。「従来のパッケージ製品はデータ中心のまとめ方だったが,xAppsはプロセス中心のまとめ方になる」(玉木氏)。例えば,新製品を開発するための業務や,企業統合を推進するための業務などが,SAP xAppsの適用業務になる。