「Symmetrix」や「Clarix」などのディスク装置を提供する米EMCは,ストレージ管理ソフトウエアにも力を注いでいる。異機種ストレージ製品の統合管理を目指した戦略「AutoIS」を2001年10月に発表し,「ControlCenter」などの管理ソフトを提供してきた。このたび来日したGlobal Solution Group,Vice PresidentのDonald S.Swatik氏に,「AutoIS」の進ちょく状況や,製品戦略を聞いた。(聞き手は,松山 貴之=日経システム構築)

---「AutoIS」の進ちょく状況はどうか
 AutoISは,異機種環境においてアプリケーションからネットワーク,ストレージまでの統一的な管理ができるソフトウエアの提供を目指している。対応する他社のストレージ製品は,当初は米Compaq Computer(現米Hewlett-Packard)の製品であったが,今では米IBM,日立製作所,米Network Applianceの製品などにも対応している。AutoISに関連した他社との提携では,最近,米Veritas Software,日立製作所との間で,API(Application Program Interface)を相互供与することを発表した。

---APIの相互供与によって何が可能になるのか
 例えば,複数の異機種ストレージ装置を仮想的に1つのストレージ装置として扱うことができる。そのほか,他社のストレージ装置上で稼働するデータ・コピー・ソフトなどを統一的に管理できるようになる。

---データ・コピー・ソフトに関して,管理を統一するのではなく,コピー・ソフトそのものを他社のストレージ装置上で稼働させられないのか
 それは無理だ。データ・コピー・ソフトを稼働させるのに最適な場所はストレージ装置の内部であり,そのようなコピー・ソフトは,ストレージ装置を制御するマイクロコードと密接な関係にある。

---異機種環境を統合管理するソフトウエアを提供するなら,ハードとソフトは切り離されているべきだ。ソフトウエア部門を独立した会社として切り離す考えはないのか
 米EMCの社内では,ソフトウエア部門は独立した組織になっている。今のところ別会社にする考えはない。また,ハードとソフトが完全に統合していることで,ユーザーにメリットが提供できる。

---一方で,御社のストレージ装置は高価だとよく聞く
 今後は製品の価格競争力を高める。最近発表した新製品「Symmetrix DMX」などのハイエンド向けだけでなく,Clarixなど(のミッドレンジ製品)に対しても行っていく。

---ストレージ技術において,安価なRAIDディスクである「IDE-RAID」と,IPネットワークが利用できる「iSCSI(Internet SCSI)」が注目されているが,これらの技術にはどのように取り組んでいるか
 IDE-RAIDに関しては,すでに2002年に発表した「Centera」という製品で採用している。この製品はレントゲン写真や放送用コンテンツなどの格納に適したストレージ装置である。
 iSCSIは我々も注目している。すでに,米Cisco Systemsのネットワーク製品との接続検証などを実施している。iSCSIのインタフェースを持った製品提供に関しては,具体的なことは言えないが,市場のニーズにこたえていく。